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「アイスジャム」 雪泥流の脅威

アイスジャムによる被害の仕組み
アイスジャムが決壊して雪泥流が流れた痕跡が見つかった辺別川=北海道美瑛町で2018年3月12日、寒地土木研究所提供

 北海道で3月、河川が急激に増水して護岸工事をしていた男性が死亡したり車が流されたりする事故があった。川の流れを氷の塊がせき止める「アイスジャム」が決壊し、現場付近に氷を含んだ雪泥流が一気に押し寄せた可能性が高い。急な気温の上昇やまとまった降雨が背景にあったとみられ、専門家は「雪泥流の威力は非常に強い。気候変動が大きくなる中、北海道以外の寒冷地でも被害が出る可能性がある」と注意を呼びかけている。

     ●気温上昇、大雨で

     アイスジャムは、河川の表面を覆っていた氷や雪が気温上昇で割れて流れ出し、たまって途中でダムのように川をせき止める現象を指す。川の幅が狭くなる部分や蛇行部、橋脚付近などで起きやすいとされる。

     この時期は雪解けで水量が増すだけに、上流側で水位が急上昇して氾濫被害が起きたり、詰まった氷が決壊して下流に氷を含んだ雪泥流が一気に下る現象が発生したりする。

     ●北海道では毎年

     発達した低気圧が通過した3月9日、北海道では太平洋側を中心に季節外れの大雨となり、気温も上昇。北見工大の吉川泰弘准教授(河川工学)らの調査で、この時、少なくとも道内11河川でアイスジャムが起こった可能性が高いという。

     美瑛町の辺別(べべつ)川で、護岸工事の作業中だった男性会社員(当時51歳)が流れてきた大量の氷雪の塊に埋まって死亡。日高町の沙流(さる)川上流では車3台が流され、作業員11人が近くの発電所に避難した。

     それぞれの現場では、大きさが1~3メートル、厚さ40センチの氷の塊が流れた痕跡があった。吉川准教授は「この時期の大雨は例年より1カ月近く早い。氷が硬く大きいまま割れて流れた箇所も多かったのでは」と分析する。

     国立研究開発法人「寒地土木研究所」(札幌市)によると、アイスジャムは北海道では毎年起きているとみられる。1961年4月、天塩(てしお)川の水位が上昇して氾濫。北海道開発局の記録では457ヘクタールの田畑が冠水して34戸が床上・床下浸水した。94年2月には札幌市西区の琴似発寒(ことにはっさむ)川でアイスジャムが決壊し、河川工事現場からショベルカーごと流された作業員が死亡する事故があった。同研究所寒地河川チーム主任研究員の横山洋さんは「1トン以上の巨大な氷が大量に勢いよく流れてくれば、人間はひとたまりもない」と危険性を指摘する。

     ●予測モデル作成を

     いつアイスジャムや雪泥流が起きるかを把握するのは難しいうえ、人目につかない発生現場から遠く離れた下流で被害が出ることもある。

     対策として吉川准教授らは、川の流れや氷の浮力を考慮して発生時期の予測モデルを作成することなどを挙げる。寒冷地に限定した現象だけに研究者も極めて少ないが「漂流物による被害という観点では、豪雨や津波による流木などの河川災害も共通する部分がある」と説明。(1)どこで詰まるか(2)どのくらいの水位になるか--はアイスジャムの対策研究でも重要で、氾濫範囲や河川に近づかないように注意喚起するタイミングなどをより詳細に絞り込めれば、想定外の被害を抑えることにつながると見ている。【澤俊太郎】

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