メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

【お知らせ】現在システム障害のため一部の機能・サービスがご利用になれません
消えない傷

今苦しんでいるあなたへ 中野宏美さん「あなたもアライになろう」

中野宏美さん=本人提供

性暴力撲滅を目指すNPO「しあわせなみだ」代表 中野宏美さん

 4月に発覚した、財務省の前事務次官による記者へのセクシュアルハラスメント。前次官本人は騒動の責任を取る形で辞任しました。財務省はセクハラの事実を認め、前次官を減給処分にしました。セクハラを否定する次官を辞任に追い込み、財務省が処分をせざるをえない状況をもたらしたのは、私たち市民が主体となった「世論」です。

 同じく4月に強制わいせつ容疑で書類送検されていたことが分かったアイドルグループのメンバーは、芸能事務所に契約を解除されました。被害者である女子高校生を非難する声も一部に見られましたが、非難の多くは、飲酒問題を抱えていたメンバーが、酒を飲みわいせつ行為をしたことを、批判するものでした。

 2年前の2016年、2世タレントが強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕され、のちに不起訴となった事件では、被害女性が多数のバッシングに遭いました。2年前に比べて、性暴力に向けられる社会の目は格段に厳しいものに変わっています。

 知事や国会議員を経て、現在もタレントとして活動しているお笑い芸人が、児童福祉法違反で摘発された風俗店への出入りが発覚したのは1998年。20年を経て、今私たち市民は、性に対して暴力を振るう人が、大きな影響力を持ち、発信する立場にあることに、明らかに厳しい視線を向けるようになりました。

性暴力を許容しない社会へ

 性暴力を許さない風土が醸成されてきた背景には、これまで「女性の問題」とされがちであった性暴力が、「あらゆる人々の問題」として、認識されるようになったことがあります。

 例えば昨年7月。刑法性犯罪が、制定から110年の歴史において初めて、抜本的に改正されました。改正実現の背景には、超党派の男性議員の賛同がありました。また、私が代表を務める、性暴力撲滅を目指すNPO法人「しあわせなみだ」は、スタッフの半数が男性です。性においても人権は、すべての人に尊重されるべきものであり、権利を侵害する暴力には「相応の処分が下されるべきである」という、当たり前のことが、ようやく浸透しつつあります。

 一方で、性暴力経験者が、公的機関や非営利団体等の相談窓口で「より一層傷つけられた」という声はなくなりません。かつて福祉の現場では、旧優生保護法に基づく強制不妊手術という「リプロダクティブヘルス・ライツ」(性と生殖に関する健康・権利)を、障がい者などに推奨してきました。また、日本で、性暴力経験者が生きることを底支えするには、人材も場所も資金も圧倒的に不足しています。

 昨年、アメリカのハリウッド女優に端を発した、性暴力の経験を告白する「#Me Too」運動。目には見えないかもしれませんが、私たち市民は、性暴力を許容してきた社会を、確実に変えようとしています。

 LGBTなどの性的少数者に対し、当事者ではなくても、性的少数者の人々が置かれた不利益な状況に異議を唱え、不利益の解消を求める人々を「アライ(ally)」と呼びます。性暴力においても、当事者ではないが理解者、支援者であるアライの存在は非常に大きな力になります。性暴力のない社会を実現するために、あなたもアライになって、一緒に社会を良くしていきましょう!

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 日産会長逮捕 ゴーン神話「数字の見栄え良くしただけ」
  2. 日産 ゴーン会長を解任へ 「会社資金を私的に流用」
  3. 日産会長逮捕 再建神話、地に落ち 社員に衝撃と動揺
  4. 暴行容疑 元レスラー長与千種さんの髪つかむ 男を逮捕
  5. 高校野球 練習試合で頭に死球、熊本西高の生徒が死亡

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです