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余録

先日の小欄で「外交辞令」を辞書で引いてみたが…

 先日の小欄で「外交辞令」を辞書で引いてみたが、英語の辞書で「ディプロマティック」を引くと「外交的」のほか「そつのない」「如才(じょさい)ない」などとある。が、並んで「古文書学の」とあるのは何なのか▲実はこちらがディプロマシー(外交)のルーツだという。「外交という言葉は長年、古文書の保存、過去の条約の分析および国際交渉史の研究と結びつけられてきた」(ニコルソン「外交」)。外交は如才ない社交術ではなかったのだ▲英外交官だったニコルソンはこう述べている。「外交は、正確な、認証しうる形で合意を取り決める術である」。むろん認証は合意文書によってなされる。彼は公衆の期待を浴びる首脳外交がこの基本を踏み外しがちなのを批判した▲さて、くるくる変わる猫の目協議は、とりあえず「当初予定の12日開催」で落ち着いた。むろんシンガポールでの米朝首脳会談である。ただトランプ大統領は「互いを知るのが主目的だ。その場で何か署名することはない」のだとか▲つまり肝心の北朝鮮の非核化方法はなお合意にいたらず、今回は首脳同士の顔合わせにとどまるらしい。互いに気が合った場合、気が合わない場合、それぞれに不気味だが、両首脳の社交ショーを「外交的成果」といわれても戸惑う▲大統領やら国務長官やらの交渉が実況ツイートされる「劇場外交」など、前世紀のニコルソンが聞いたら目を回すだろう。観客席の諸国民が求めているのは地域の非核化と安定にむけた実のある合意ただ一つだ。

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