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社説

ジョージア出身 栃ノ心 土俵に明るさもたらした

 遠回りしたが、地道な努力が実を結んだ。

     大相撲の栃ノ心が30歳7カ月で大関に昇進した。ジョージア(グルジア)出身では初めてで、欧州では3人目だ。新入幕から60場所での昇進は二代目増位山と並んで最も遅い。

     暴行事件や「女人禁制」問題などで社会の厳しい目が角界に注がれる中、明るさをもたらした。

     少年時代から柔道やサンボに取り組み、相撲の世界ジュニア選手権で準優勝した経験もある。18歳で入門した。他の外国出身力士同様、日本の生活になじむのに苦労した。

     日本語は師匠の春日野親方らが教えた。ジョージア語の辞書がなく、おかみさんがインターネットで集めた単語を元に日本語を覚えた。

     2013年に右膝靱帯(じんたい)断裂の大けがをし、一時は幕下まで落ちた。故郷に帰ろうと考えた時に親方が踏みとどまらせ、リハビリを支えた。

     大関昇進の伝達式では恒例の四字熟語は使わず「親方の教えを守り、力士の手本となるように稽古(けいこ)に精進します」と述べた。口上に「親方」と入れるのはまれだが、素直な感謝の気持ちは多くの共感を呼んだ。

     大相撲界は不祥事が相次いだ。

     昨秋、横綱だった日馬富士が後輩力士に暴行した。モンゴル勢らが集まった酒席での出来事だった。年明けには十両だったエジプト出身の大砂嵐の無免許運転が発覚した。

     外国出身力士の立ち振る舞いに批判が集まり、ネット上では排斥するような意見も出回った。

     春日野部屋では力士間の過去の傷害事件が公になった。貴乃花部屋の力士の付け人への暴力もあり、相撲界がまた信用を失いつつあった。

     取組後、ファンとタッチして花道を引き揚げるといった明るい人柄が人気だ。力任せの相撲を取る外国勢が多い中、がっぷりと組む四つ相撲はファンを引きつけた。

     本場所は横綱・稀勢の里の7場所連続休場をはじめ、上位陣を欠く取組が続いている。

     30代は力士として体力的な衰えが見え始める時期だ。しかし、32歳1カ月で横綱に昇進した琴桜や、新入幕から73場所を要した稀勢の里のようなスロー出世の例もある。

     より高みを目指し、角界の活性化をけん引してもらいたい。

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