メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

100年カンパニーの知恵

五島軒(北海道)/上 火災越え伝える味

五島軒本店のレストラン「雪河亭」。家族連れらが笑顔でカレーを楽しむ=北海道函館市で

 <since 1879>

    味はとびきり 値段は手ごろ

     音楽が流れる優雅な雰囲気の下、白いテーブルを囲む家族連れが、笑顔でスプーンを口に運ぶ。「これを食べるために札幌から来た」と話す女性の前にあるのは、香り高い一皿のカレー。今年で創業139年を数える北海道函館市の老舗「五島軒」が守り続けてきた伝統の味だ。

     江戸の生まれで、先代の米相場での失敗から函館に移り住んでいた若山惣太郎は1879(明治12)年、パン屋を創業。この年、五島列島(長崎県)出身でロシア料理を学んだ五島英吉をコック長に迎え「ロシア料理とパンの店・五島軒」を開いた。当時の函館は、外国船に門戸を開き、西洋文化が広まった国際貿易港。入港した外国船に料理やパンを配達することも多かったという。

     もっとも、当時の函館人の嗜好(しこう)はフランス風が主流で、86年の火災で店が全焼して五島が横浜に去ると、フランス帰りのコックを雇い入れ「フランス料理と洋食の店」に方向を転換。以後、現在の五島軒の流れが出来上がっていく。カレーを筆頭にオムライス、ハヤシライスといった「洋食」が市民に親しまれていくのもこのころからで、4代目の若山直社長(73)は「日本人にはやはり『ご飯とおかず』の形が受け入れられやすかったのだろう」と推測。「カレーは、昔から石炭ストーブの上の寸胴鍋で牛骨と肉を煮込んできたスープが根本。ずっと続いてきたこのカレーは最長寿」と胸を張る。

     その後、五島軒はさらに3度の大火で焼失するが、「店がなくてもストーブは鉄だから焼け残り、パンや料理はできる」と、営業を続けながら再建。現在の地上一部3階、地下1階の本館も1934(昭和9)年の大火の翌年に建てられ、カレーの味とともに五島軒の“命”を今に伝える。【山田泰雄】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 沖縄慰霊の日 平和の詩「生きる」全文
    2. 晴れ着トラブル 「はれのひ」社長聴取へ 23日午後帰国
    3. サッカー日本代表 「西野監督ごめんなさい」ネットに続々
    4. 将棋 藤井七段、王座戦タイトル初挑戦まであと2勝
    5. トランプ米大統領 安倍首相に暴言 G7で移民政策議論中

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]