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教育の窓

話す受験英語、予備校が講座 導入控え、高1向け

受講生と英語で会話する河合塾の安井稚乃講師=横浜市で

 <kyoiku no mado>

     センター試験に代えて2020年度に始まる大学入学共通テストは、現在の高校1年生が初めて受けることになる。「読む」「書く」「聞く」に「話す」技能も含めた4技能を測るため、新たに活用される英語の民間資格・検定試験は、1年10カ月後の20年4月から受験が可能となる。高1対象の授業にスピーキングを取り入れた予備校もあり、「講師から受講生へ」という一方向の講義が当たり前だった予備校の風景も変わりつつある。【伊澤拓也】

     ●受講生同士で会話

     「Have you ever been abroad?(海外に行ったことはありますか)」

     河合塾横浜校の一室で、安井稚乃講師が高校1年の生徒十数人に問いかける。あると答えた生徒が「Hawaii, ten times(ハワイに10回)」と付け加えると、安井講師は思わず日本語で「めっちゃゴージャスやね」と笑った。受講後、公立高の女子生徒(15)は「私たちの代で入試が変わるので、英語の4技能はすごく意識している」と話した。

     河合塾では大学入学共通テストを見据え、今年4月から高1英語のカリキュラムを4技能育成を目指す内容に一新した。従来の文法や長文読解、リスニングに加え、自分の意見を読んだり発表したりするスピーキングの時間が初めて設けられた。スピーキングでは受講生を名指しして答えさせたり、受講生同士で会話させたりするという。

     受験英語の弊害としてやり玉に挙げられることが多い文法の内容は減らさず、読解やリスニング、スピーキングをそれぞれ連動させて技能の定着を図るのが特徴だ。安井講師は「インプットなしにアウトプットできない。ちゃんとした文法などの理解があって初めて表現できる」と話す。

     ●入試学力養成重視

     教育教材開発部の網野輝也チーフは「民間試験対策ではなく、4技能が問われる入試学力の養成が目的。特に高1はどの民間試験を受けるにしても必要となる基礎学力を重視している」と説明する。新カリキュラムでは民間資格・検定試験が共通テストで活用されることを視野に、希望者が追加で受講できる英検と日本英語検定協会などが開発した能力試験「TEAP」対策の講座も新設した。

     一方、駿台予備学校でも4月から、高1の英語にリスニングを組み込んだカリキュラムを開始。7月に始まる夏期講習には「高1スピーキング」を新設するなど、4技能育成を意識した講座を開く。

     ●バイリンガル配置

     さらに4月から海外在住経験のある大学生を「バイリンガル・インストラクター」として全校舎に配置し、空き時間にスピーキングの練習ができる環境を整えた。繁浪昭博・教務部長は「高1は基礎力をつけることが最も大切。受講生の全員が4技能を意識しているわけではないので、こちらで誘導している部分もある。早い段階で準備したほうがいいのは間違いない」と話す。

     民間試験は高3の4月から受けられるため、難関大学を目指す生徒は高2の年度末までには民間試験対策を終えられるのが理想という。

    「授業、試験対策に偏る懸念」 高校側「指導要領の範囲超える」

     予備校業界にとっては民間試験対策は受験生のニーズへの対応とも言えるが、一方の高校側には「民間試験の活用で授業が試験対策に偏るのでは」という懸念が根強くある。

     最も大きな理由は、従来の高校の授業では民間試験に対応できない恐れがあることだ。大学入試センターは民間試験の認定要件に「(教える内容を明記した)高校学習指導要領との整合性が図られていること」を盛り込み、8種類の試験はこれをクリアしたとしている。

     しかし、民間試験の用途はビジネスや留学などさまざまで、指導要領の範囲を超えると指摘されるものも少なくない。

     さらに、「話す」技能を教えられる技能を備えた教員がどれだけいるかという課題もある。文部科学省が17年度に実施した調査によると、政府が高校教員の75%を目標としている英検準1級相当の資格の取得率は65・4%(前年度比3・2ポイント増)だった。英検準1級は6段階あるCEFRの上から3番目に相当する。教員の英語力は年々上昇傾向にあるものの、依然として政府が求める水準には達していないのが現状だ。

     全国高等学校長協会長で東京都立三田高の笹のぶえ校長は「4技能を評価するのは賛成だが、民間試験はそれぞれ目的が異なり、高校の学習成果を確認する入試に使うのに適しているかは疑問だ」と指摘。そのうえで「教員の英語力は向上している。現場は4技能育成に向け授業改善の工夫をしているので、高校の英語教育を信頼してほしい」と話す。

     検定料が6000~2万円台と高額なことに加え、高校の対策が遅れ予備校などへの依存度が高まり、経済格差が大学入試に強く反映される可能性もある。


     ■ことば

    大学入学共通テストの英語

     現行のセンター試験が英語4技能(読む・聞く・書く・話す)のうち主に「読む」「聞く」を対象としているため、4技能を総合的に評価できるとされる民間資格・検定試験を活用する。大学入試センターは今年3月、英検やTOEFLなど8種類を対象試験として認定。英語力の国際指標CEFR(セファール)に基づく6段階評価と対象試験の素点が志望大学に送られる。2020~23年度は現行のマークシート式試験を併存させ、24年度からは民間試験のみに切り替える。

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