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読書日記

著者のことば 李琴峰さん 性的少数者の境遇描く

 ■独り舞 李琴峰(り・ことみ)さん 講談社・1728円

     台湾出身の著者が初めて日本語で書いた小説だ。心に傷を持ったレズビアンの主人公が死を考えながら、台湾、日本、豪州と越境する。性的少数者(セクシュアルマイノリティー)の街頭行動「プライドパレード」の場面が象徴的に描かれ、悲痛な物語を現実社会とつなげている。「必要とする人に届いたらうれしい。何かの励ましになればいいなとも思う」と話す。

     主人公は台湾から日本に渡り、会社員として働く女性。彼女は迎梅(インメー)、紀恵、小恵(シャウフェー)など、コミュニティーごとに複数の名前を名乗る。死への意識を語る主人公の序盤のセリフが胸を突く。

     <「人類が滅亡してくれないかな?」>

     物語はいったん台湾に戻り、主人公が青春時代に体験した恋の挫折と、ある「災難」の記憶に行き着く。彼女は精神を病んで通院し「暗黒の大学時代」を過ごした後、過去から逃れるように来日。日本での恋愛や人間関係にも追い詰められ、「独りで舞う」ように行動を起こしていく。

     「小説を通して、人間の傷の治癒について、その可能性、あるいは不可能性を書きたかったんだと思います」と振り返る。

     一方、東京と台北、シドニーそれぞれで行われる性的少数者の「プライドパレード」の描写が、鮮やかな対照を成している。

     <隊列の先頭を行くフロートが賑(にぎ)やかなクラブミュージックを流しており、フロートの上で派手な衣装を身に纏(まと)うドラァグクイーン達がダンスを披露していた。>

     パレードを先導する台車の上で、女装の男性たちが踊っている東京での光景だ。性的少数者の境遇は「政治性と切っても切り離せない」と感じている。

     自身は15歳から日本語を学び、2013年に来日。作中にも名前が挙がる台湾の作家、邱妙津(きゅうみょうしん)や、日本の村上春樹、中山可穂らに影響を受けた。日本の作家とは異なる漢字づかいや、漢詩の引用が交ざった独特の語り口が印象的な本作は、昨年の群像新人文学賞優秀作に選ばれた。

     初の単著刊行。「日本に住み続け、日本語でも、中国語でも執筆を続けていきたい」と意欲を語った。<文と写真・大原一城>

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