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月刊相撲

道産子が再台頭 アマ不毛の地、脱却の兆し

夏場所で新入幕三賞を果たした旭大星=宮武祐希撮影
十両で勝ち越した矢後=手塚耕一郎撮影

 大相撲夏場所は、道産子力士の活躍が光った。北海道出身者で26年ぶりの新入幕を果たした旭大星(28)=友綱部屋=が10勝を挙げて敢闘賞。十両では矢後(23)=尾車部屋=が十両で初めて勝ち越し。幕下5枚目の一山本(24)=二所ノ関部屋=も勝ち越すなど力をつけてきた。出身地別で十両、幕内、三役と戦後最多の力士数を誇る北海道。再台頭の要因や、これまでの低迷の背景を探った。【飯山太郎、吉見裕都】

     旭大星は、北海道出身では1970年夏場所で技能賞を獲得した大受(後に大関)以来の新入幕三賞を果たした。場所中は「自分をきっかけに、北海道でも相撲をする子どもが増えてくれれば」と口にしていた。

     旭大星は高校までは柔道選手で、「たたき上げ」の部類に入る。だが、北海道勢の再台頭の特徴は、ともに中大相撲部出身で、次の座を狙う矢後と一山本にある。

     プロでは数々の名力士を輩出してきた北海道。だが、アマ相撲界では「不毛の地」と呼ばれてきた。高校総体の団体戦の優勝校はなし。北海道に次ぎ幕内を輩出する青森県が三本木農、弘前実、鰺ケ沢と優勝校を擁しているのとは対照的だ。プロでの活躍とアマでの低迷。この背景として、拓大で全国学生選手権個人戦ベスト4の経験もある、札幌市の札幌すもうスポーツ少年団の白神治監督(48)は、道内にあった独特のアマ相撲文化を挙げる。

     かつては炭鉱が基幹産業だった北海道。石炭採掘に従事するため全国から労働者が集まり、道内では力自慢の争う炭鉱ごとの相撲大会なども盛んだった。相撲が身近だったから、中学卒業後にプロを志す者も多かった。

     だが、60年代以降、道内の炭鉱は閉山が相次いで人口も減少。各地で行われていた相撲大会は姿を消していった。一方、有望選手が中卒で角界入りするため高校相撲の強豪校は育たなかった。また、「大人の相撲は盛んだったが、小学生から相撲を教える相撲道場は広がらなかった」と白神監督は言う。

     幕内の国内出身者は現在、幼少期から地域の道場で相撲に親しみ、高校や大学の相撲部で経験を積んだ力士が主流になっている。夏場所でも幕内の日本出身力士33人中22人が高校相撲経験者だ。

     子どもの頃から相撲に触れる「アマの地盤」が広がらなかった北海道にあって、矢後は幕別町、一山本は岩内町の相撲道場で幼少期から相撲を始めた。

     小学校卒業時には身長180センチ、体重120キロだったという矢後は、高校は強豪の埼玉栄に“相撲留学”。現在も130キロ足らずと細身の一山本は、昨年の高校総体の相撲団体戦にも出場した大野農(北斗市)に進んだ。そして、ともに中大に進学。矢後は2016年にアマ横綱に輝き、翌年夏場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ。

     白神監督は「矢後と一山本は今までと違うタイプ。ようやく北海道からもアマ経験を積んで、大相撲でも活躍できる力士が出てきた」と再台頭の要因を指摘する。

     だが、白神監督が指導する少年団のメンバーは二十数人。道内の小学生の競技人口は100人に満たず、減少傾向は続いている。相撲道場も、本格的に活動しているのは広い北海道内で10カ所程度だという。

     このような状況で白神監督が期待するのは、プロの力添えだ。「やはり大相撲の影響力はすごい。道内の相撲大会を見に来てくれるだけでいい。子どもたちの大きな励みになる」。かつての「相撲どころ」は、功成り名を遂げた故郷の先達の支援を切望している。


    十両、幕内、三役 北海道が突出

     北海道は出身地別にみると十両、幕内、三役のいずれでも、戦後では最多の力士数を輩出している。横綱も8人。これも出身地別では最多だ。

     横綱には1951年の千代の山を皮切りに、54年には吉葉山が昇進した。61年昇進の大鵬は優勝32回、70年の北の富士は10回、74年の北の湖は24回、81年の千代の富士は31回の優勝を誇った。さらに87年には北勝海(現八角親方)と大乃国(現芝田山親方)も昇進した。

     旭大星の前に新入幕した道産子力士は92年初場所の立洸。ただ、幕内は89年初場所に新入幕した北勝鬨(現伊勢ノ海親方)が十両転落もありながら98年夏場所まで務めた。旭大星の昇進で北海道勢の幕内不在は20年で途切れた。

    戦後の出身地別の力士数5傑

       十両        幕内         三役

    (1)北海道 77 (1)北海道  51 (1)北海道  26

    (2)青森県 64 (2)青森県  43 (2)青森県  24

    (3)東京都 48 (3)東京都  29 (3)東京都  13

    (4)大阪府 40 (4)兵庫県  24 (4)モンゴル 12

    (4)福岡県 40 (4)モンゴル 24 (5)兵庫県  10

     ※夏場所現在。出身地や出身国は初昇進時の届け出による


     原則、第1火曜日に掲載します

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