メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

平和をたずねて

軍国写影 反復された戦争/71 独立運動、国外に拡大=広岩近広

 中国東北部の間島(吉林省)は韓国やロシアと国境を接しているため、特に朝鮮人の移住者が多かった。韓国を併合した日本政府は「間島に関する日清協約」により、間島の竜井村に総領事館を置いていた。

     朝鮮半島で「3・1独立運動」(1919年)が起きると、朝鮮総督府は本土からの援軍を求めて武力で弾圧した。このとき間島に逃れた朝鮮人も多い。

     東京日日新聞は19年5月7日、「間島竜井村居留民会」から元外相で憲政会総裁の加藤高明に宛てた電報を報じた。見出しは<間島の大暴動>だった。

     <韓国独立運動の際、危険防止治安維持の必要上、在留民は領事に対し、至急出兵の要請をなせるが、爾来(じらい)不穏の状は漸次その度を加え、朝鮮内地取締り厳重となれるに伴い、不逞(ふてい)分子の当方面に竄入(ざんにゅう)するもの多く、かつ露領及び各方面との連絡密接を増し、武器及び資金の準備等、着々その歩を進めつつあるものの如く、暴動具体化し来たり>

     続けて、被害に言及する。<二日夜、朝鮮総督府の官舎一、邦家一、二焼失し、引き続き四日午前四時、総領事館に放火し、その二棟を焼失し、他の民家にも放火せり、危険刻々濃厚を加え、在留民の生命財産不安甚(はなは)だしきも、現在の領事館警察力のみにては、一般不逞暴徒に対し、鎮圧の力足らざるは勿論(もちろん)、在留民の保護すら充分ならず>

     間島への軍隊の出動を求める電報だった。山室信一著「複合戦争と総力戦の断層」(人文書院)は、次のように記している。

     <日本のアジア政策にとって重要な問題となったのは朝鮮独立運動が満州やロシアの沿海州さらに上海などの日本の主権の及ばない地域で展開していたことであった。(略)間島地区や沿海州は、いわゆる共産主義過激派の悪影響としての「赤化」が朝鮮や日本に及ぶ「赤化南漸」の危険地帯と考えられるに至っていたのである>

     間島で制圧を行えば、シベリアに入り、シベリアで追撃すると間島に逃れた。日本政府は、こうした民族運動の弾圧に、軍隊を使い続けた。

     抗日運動は中国でも激化し、東日は同じ日の紙面で<排日気勢揚(あが)る 上海各団体の決議>と報じた。

     <対日外交後援会は青島問題の為、特に会員を各省に赴かしめ、各方面と連絡して、各地に会を開き、一致して力争し、かつ五月七日を国恥記念日となし、白布に国恥記念の四字を記し、その門に掲ぐる>

     韓国と中国の抗日勢力は、シベリア出兵の日本軍にも影響を及ぼした。

    <パルチザン運動に投じ武装闘争を行う朝鮮人や中国人がいることであった><アムール州では、中国人が日本軍の「過激派討伐」を妨害した>(原暉之著「シベリア出兵」、筑摩書房)

     日本軍に挑んだのは、正規軍ではないロシアのゲリラ部隊パルチザンであり、中国と韓国の抗日義兵であった。(次回は6月12日に掲載)

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 殺人 「闇ウェブ」専門家刺され死亡 福岡繁華街、男出頭
    2. 沖縄慰霊の日 平和の詩「生きる」全文
    3. 東京湾 クジラ目撃情報 ゲートブリッジや葛西海浜公園で
    4. サッカー日本代表 不安定な川島 西野監督も苦言
    5. クジラ 東京湾で目撃9件 海ほたる沖で何度もジャンプ

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]