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はやぶさ2

NECエンジニア「知り尽くした探査機、最大限のサポートを」

「はやぶさ2を知り尽くしているからこそのサポートをしたい」と語るNECの安達昌紀・社会基盤ビジネスユニット主席主幹(左)と大島武・宇宙システム事業部プロジェクトディレクター=東京都府中市で2018年5月21日、池田知広撮影

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が、今月下旬にも目的地の小惑星「リュウグウ」に到着する。5日には往路の最後のイオンエンジン連続運転を終え、これからはカメラでリュウグウを見据えながら徐々に近づいていく。難しい運用を支えるのは、探査機を開発・製造したNECのエンジニアたちだ。到着を前に同社のキーマン2人が記者会見し、「探査機を知り尽くしている立場から、最大限のサポートをしたい」と意気込みを語った。【池田知広】

 会見したのはNECの安達昌紀・社会基盤ビジネスユニット主席主幹と、大島武・宇宙システム事業部プロジェクトディレクターの2人。安達さんは「はやぶさ2」の開発初期から社内チームを引っ張り、大島さんはプロジェクトマネジャーを務めている。

 「ハードウエアは私たちが一番よく知っている。ミスなく運用できるように、JAXAさんを支援したい」。実際に探査機を開発したメーカーとしての自負をのぞかせつつ、大島さんはそう語る。

 大島さんは、はやぶさ2を運用するJAXAの管制室に入り、NEC側のプロジェクトマネジャー(PMN)として指揮する。メーカーの視点からJAXA側のプロジェクトマネジャー(PMJ)である津田雄一さんらに助言し、重要な意思決定に関わっていく。

 管制室では姿勢制御や通信系など、各担当ごとにJAXAとNECがパートナーを組むという。「PMN」や「PMJ」など略語の末尾の「N」はNEC、「J」はJAXAを表す。大島さんは「両者がダブルチェックをして、ディスカッションをしながら運用を進めている」と、二人三脚の運用状況を説明する。

 これから待ち構える最初の難関は、秋ごろに予定されるリュウグウへの着陸だ。現時点では詳細が分からない小惑星の地形などに左右されるため、不確実性が大きい。大島さんは「やはり表面に下りていくのは難しい。探査は行ってみないと分からないことがある」と話す。

はやぶさ初号機を開発、運用

 NECは、はやぶさ初号機の開発、運用にもかかわり、JAXAメンバーと共に世界初となる小惑星から物質を持ち帰るという困難なミッションを実現させた立役者だ。これまでだれも作ったことのない装置を開発したり、エンジンなどにトラブルに備えた工夫を加えたり、トラブル時にはいち早く新たなソフトウエアを開発したりして、ミッションを前進させた。

 それらの経験が、はやぶさ2に生かされている。一つがリュウグウ到着前の本番さながらの運用訓練だ。NECのメンバーも本番同様の態勢で訓練に参加した。

 例えば、訓練で予告なしに急に探査機の姿勢が狂い出したことがあった。初号機で燃料が漏れて姿勢を崩し、通信途絶したことが思い出されたが、大島さんらは姿勢制御装置の回転数や推進剤の噴出状況などを見て、原因が姿勢制御装置にあることを突き止めることができたという。

 安達さんは「はやぶさ(初号機)では我々も『その場』の判断がたくさんあり、大変だった。訓練によって落ち着いて対応できるようになるので、今回は非常に助けられている」と明かす。

 さらに初号機の教訓を受けて、故障が相次いだ姿勢制御装置を強化したほか、従来は宇宙空間を進むのに邪魔な存在だった「太陽光圧」を使って姿勢を制御することによって他の装置や燃料を温存する新たな航行技術も実現できた。

 初号機に続き、今回も管制室に入って重責を担うことになる大島さんは「わくわくしながら小惑星への到着を待っている」と笑顔で語った。

製品の国際競争力を上げたい

 一方、安達さんはプロジェクトを通じたNECの競争力向上を見据える。これまで70機以上の人工衛星に関わってきた同社は、国際的な協力の下での宇宙探査にそのノウハウを還元しようとしている。安達さんは「新たな潮流の中、はやぶさ2のような困難なミッションをサポートし、搭載機器を軌道上実証することで、我々の製品の国際競争力を上げたい」と話す。

 NECは2012年にはやぶさ2の製造に着手し、約2年半という短期間で完成させた。総勢およそ200人の社員らがはやぶさ2のプロジェクトに携わっているという。安達さんは「初号機から長期間を置かずに探査が繰り返されることで、若い世代への技術継承ができてきたと思う。メーカーとしてJAXAさんと同じことだけを考えるのではなく、組織としての意見をぶつけ合って、ブラッシュアップしていきたい」と語った。

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