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発言

北海道、地域の最適交通を=岸邦宏・北海道運輸交通審議会副会長

 北海道は3月に「交通政策総合指針」を策定した。2030年度の北海道新幹線札幌開業を見据え、それまでに交通網をどのように構築していくべきかをまとめたものだ。 

     JR北海道は、在来線全路線の約半分を自社単独では維持困難と公表した。この問題を受け、有識者による「鉄道ネットワークワーキングチームフォローアップ会議」で、鉄路の今後のあり方について議論した。指針には、その結果が盛り込まれている。

     会議は、現状の線区(区間)の利用状況、地域特性を踏まえ、北海道全域やそれぞれの地域の将来の交通ネットワークのあり方はどうあるべきか、最適な交通のための議論の方向性はどうあるべきか、という観点で意見を取りまとめた。

     「全線区をそのまま維持するのは、交通のあるべき姿としては困難」という共通認識の下、存続を検討する線区、代替交通を含めて検討する線区と、方向性がすべて同じにはならなかった。ただこの結果について、一部新聞報道で見られた「優先順位」という言葉でまとめることは、座長としては本意ではない。

     たとえ人口減少・高齢化にあえぐ地方であっても、我が国の食糧基地などの役割を考えれば、北海道にとっても国にとっても、すべての地域が等しく重要だ。

     地域や道全体を維持、発展させるために、それぞれの地域に適した交通手段がある。担うべきなのが鉄道かバスかなどの違いはあるが、優先順位といった地域ごとの相対評価で比較すべきものではない。ましてや、鉄道存続の議論の結果を巡って、「勝ち負け」や「地方の切り捨て」という視点で考えることは、交通のあり方の議論の本質から離れてしまう。「最適な交通は何か」という議論は、すべての地域で取り組まなくてはならない。

     道の指針では、「シームレス交通戦略」を掲げている。鉄道やバス、タクシーなど異なる交通手段が連携し、利便性が高くストレスのない移動の実現を目指している。駅やターミナルでのバリアフリーは当然のことで、乗り継ぎがしやすいダイヤへの改善、情報提供の共有化など、「継ぎ目のない」ネットワークの構築が今こそ求められる。地域にとって本当に必要な鉄道やバスの交通網を構築し、それが広域交通、都市間交通へとつながることによって、北海道全体の体系ができあがる。

     観光による鉄路維持の面では、議論が観光列車に集中していないだろうか。駅を拠点とした2次交通の必要性はこれまでも言われてきたことだが、どれだけの地域がその改善に動いているだろうか。それぞれの主体が人任せにせず、自分がすべきことをしなければ、従来と同じ議論の繰り返しになる。

     道と市町村、JR北海道、国などが一体となって議論し、道民が鉄道をはじめとする公共交通の維持、活性化に協働で取り組み、北海道新幹線札幌開業時までに、道全体とそれぞれの地域が、発展できる交通ネットワークが出来上がることを願っている。


     ■人物略歴

    きし・くにひろ

     ロンドン・サウスバンク大客員研究員などを経て2008年から北海道大准教授。

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