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W杯へ愛を込めて

「日本のサッカーは良い方向に進化」 勝村政信さん

「脱バルセロナ」を提唱する勝村政信さん=東京都品川区で2018年5月、小座野容斉撮影

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会は14日に始まる。6大会連続出場の日本代表だが、不安も多い。テレビ東京系サッカー情報番組「FOOT×BRAIN(フットブレイン)」の司会を務め、国内だけでなく世界のサッカーにも詳しい、俳優の勝村政信さんに、日本代表と世界の距離感を聞いた。【岡部恵里】

あり得ないと思っていた監督交代劇

--ハリルホジッチ氏の解任について

 解任の時期には驚いた。僕はなぜかサッカー関係者と思われているため(笑い)、当時、いろんな人から「日本代表はどうなるの?」と聞かれた。ハリルさんとチームがうまくいっていないといううわさもあった。でもハリルさんを信じて、「W杯開幕目前で、監督が変わることはあり得ないから」と周囲には説明していた。俳優の仲村トオルくんとも、そんな話をしていた。ただ結果的に解任となり、2人でずっこけたのを覚えている。「(解任)ありましたね!」と(笑い)。

 代表監督の後任は、コーチから昇格して、手倉森誠さんがなると思っていた。でも西野朗さんはJリーグでの監督経験もあるし、1996年のアトランタ五輪では、ブラジルを倒すという奇跡も起こしている。それに西野さんは、僕の地元、浦和市(現さいたま市)の大先輩でもある。期待しています!

「脱バルセロナ」を提唱

--日本の目指すべきサッカースタイルは?

 僕は昔から、「バルセロナのサッカーを目指さない」を提唱しているんですが……。日本代表もJリーグのクラブも、バルセロナみたいなサッカーを目指そうとしますが、「バルセロナみたいなサッカーって、あなたは分かるんですか?」と。「イニエスタとシャビとブスケツがいなくなったときに、バルセロナのサッカーは成立するのか」と。彼らみたいな選手がいるから、バルセロナのサッカーは成り立っているんですよ。だから僕は、日本はバルセロナのサッカーを目指してはいけないと思うんです。似たようなサッカースタイルを目指すのはいいですが、完璧にまねるのは無理だから。だから僕は「脱バルセロナ」を提唱しますね。

想像力が足りない

--世界のサッカーとの差は?

日本のサッカーについて語る勝村政信さん=東京都品川区で2018年5月、小座野容斉撮影

 2014年W杯の取材でブラジルに行かせてもらった時、(現地の)あるクラブのコーチから「技術的には、ブラジルも日本も変わらない。もしかしたら日本の方が上かもしれない」と言われたことがあって。「でも試合になると、絶対ブラジルが勝つんだよね」とも……。技術をどう使うかが、違うらしいんです。なぜかと聞くと「日本人は想像力が足りないから」と。ブラジル人は、自分たちでも試合でどんなプレーが出てくるか分からないようなんです。その場その場で判断してプレーしているから、想像力が重要なんだと。

 でも日本は、教えられたことを正確に試合で出そうとしてしまいがち。だから試合中、相手に囲まれて困ったときに迷ってしまい、ボールが出せなかったりする。僕はJリーグの試合もよく見に行きますが、まず日本人はシュートをしないですよね。サイドチェンジしない、ドリブルで勝負しないチームが多い。ゴール前でパスを選ぶ選手が多いと、勝負をしてこないから、相手も怖く感じないんですよね。だから日本人も、ピッチで想像力を働かせて状況判断ができるようになればと思いますね。

消去法で考えても、ブラジルが優勝

--今大会の優勝予想は?

 やっぱり、ブラジルが強いですよ。ドイツはフィリップ・ラームが引退してから、チームのバランスが壊れてしまった。当時のドイツは攻撃の選択肢がたくさんあったが、今は少なくなってしまった。アルゼンチンも強いが、メッシ(バルセロナ)次第なところがある。スペインも以前までバルセロナベースのチームだったが、現在は、前線3人が全員南米の選手で、彼らに偏ったチームになっている。

 消去法で考えても……優勝国はブラジルかな。ブラジルは14年W杯での惨敗(準決勝でドイツに1-7、3位決定戦でオランダに0-3で敗退)以降も、ネイマール(パリ・サンジェルマン)中心のチームだったが、16年6月にチッチ監督に代わってから、ネイマールがいなくても強いブラジルになった。攻撃の選択肢が増えたチームに生まれ変わったと思う。レベルが高い試合になるにつれて、1人でドリブルで持ち込んでシュートを決めるというのは難しくなる。相手からマークをされ、攻撃の形ができなくなると、そこで終わってしまう。だから僕は、攻撃のバリエーションが豊かなチームが強いと考えています。

サラーが見たい

--海外の注目選手は?

 エジプトのサラー(リバプール)ですね。欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝での肩負傷が心配ですが、W杯で活躍する姿が見たいですね。またウルグアイのルイス・スアレス(バルセロナ)やカバニ(パリ・サンジェルマン)は、今回で最後のW杯になると思うから期待したい。若手では、ドイツのキミヒ(バイエルン・ミュンヘン)が楽しみ。キミヒがどれだけ活躍するかで、ドイツの勝敗の行方は変わると思う。

日本のサッカーは良い方向に進化している

6月9日放送予定の「FOOT×BRAIN」のゲストは、元なでしこジャパンの澤穂希さん=テレビ東京提供

--FOOT×BRAINの司会を始めて8年目

 正直、ここまで続く番組になるとは思わなかったですね。(2011年4月の)番組開始当初は、東日本大震災直後ということもあり、収録がなかなか盛り上がらなかった。復興とともに、この番組もあると思います。

--番組を通して感じた、日本のサッカーの変化は?

 日本のサッカーは、プロになってからの進化のスピードが速い。Jリーグ発足から25年で、日本のサッカーは強くなりました。6大会連続でW杯に出場できるなんて、誰も想像していませんでしたから。日本のサッカーの歩みは、何も間違ったことはしていないと思うんです。良い方向に進化していますよ。ただ携わってる人たちは、一進一退かもしれない。

 そもそもW杯に出場できるのは、とてもすごいこと。サポーターは期待が大きくなりすぎて、結果が出ないと批判的な目線で見てしまうかもしれない。でも、「ちょっと待て」と。W杯出場が当たり前と思ってはだめ。今大会、イタリアとオランダは出ないんですよ。出場枠は違えど、日本は出ますからね。サポーターの皆さんは、イタリア人やオランダ人の前で「日本のサッカーはダメ」と言えるの!?と聞きたいぐらい(笑い)。

 ただサポーターの皆さんは、停滞していると感じたことに対しては、どんどん口出しして、「ここはおかしいのでは?」と声を上げていいと思いますよ。協会もクラブ側もそういう意見を排除するのではなく、受け入れていってほしいですね。

サッカーも芝居も、基本的に同じもの

--勝村さんはいつからサッカーを?

 中学生の時にサッカーを始めて、現在に至りますね。俳優仲間などで98年に結成したチームで、今も週一でプレーしています。ポジションは、今も昔の名残でウイングに張ってしまう。しかし後輩から試合中、「勝村さん、中に入って」と言われてしまいますね(笑い)。「ウイングじゃないと、良さが出ないんだよ!」と思いながら(笑い)。

インタビューに答える勝村政信さん=東京都品川区で2018年5月、小座野容斉撮影

--サッカーと俳優の仕事、通じるものは?

 僕はサッカーも芝居も、基本的に同じものだと考えています。芝居はサッカー目線で考えて、サッカーは芝居目線で捉えていますね。例えばピッチが舞台として、選手が出演者とするじゃないですか。ポジショニングは芝居でいうとミザンセーヌ(演出)で、立ち位置だったりする。芝居には起承転結がありますが、サッカーも同じ。結に向かって、ビルドアップ(攻撃の組み立て)するという。それから監督は、芝居でいうとメソッド(方法)で、どの方法論、戦術を使うかということだと思います。また複数の方法論を混合させていくのも芝居かなと。

 ただ芝居には、勝敗がない。でもそれ以外は、出演者の動きも選手の動きも同じなんです。ボールが言葉だとしたら……芝居ではセリフがない時に、どこの立ち位置でどう演じたら効果的かと考えるんです。何手も先を考えて、逆算して演出の動きを考えたりもします。そこはサッカーも同じですよね。「オフ・ザ・ボール」(ボールを持っていない時)にどう動くかが重要。だから僕は、演劇とサッカーは同じものと考えていますね。


かつむら・まさのぶ 1963年埼玉県生まれ。2011年からサッカー番組「FOOT×BRAIN(フットブレイン)」(テレビ東京系)の司会を務める。

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