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W杯へ愛を込めて

「サッカーは人生、社会、人間関係の縮図」小柳ルミ子さん

インタビューに答える小柳ルミ子さん=2018年5月、小座野容斉撮影

 芸能界の第一線に立ち続けてきた目に、世界のサッカーはどのように映るのか。歌手、女優の小柳ルミ子さん(65)はアルゼンチン代表の英雄メッシと、彼の所属クラブであるバルセロナ(スペイン)をこよなく愛し、年間2000試合以上をチェックするという。今年4月には自身のブログやサッカーノートの内容をまとめた「パスコースがない?じゃあ、つくればいい。ルミ子の勝手にサッカー学」(東京書籍)を出版するに至った。サッカーに「日本で一番夢中な」小柳さんに、今月14日に開幕するワールドカップ(W杯)ロシア大会の見どころ、注目すべき選手、そして魅力を尋ねた。【聞き手、構成・大谷津統一、平野啓輔】

「メッシは人間性も含めすべてが私にとっての『神』です」(『パスコースがない?じゃあ、つくればいい。ルミ子の勝手にサッカー学』より)

小柳ルミ子さんがこよなく愛するアルゼンチン代表のリオネル・メッシ=ブエノスアイレスで2018年5月29日、AP

 --メッシの魅力をどこに感じますか。

 ◆世界一のプレーヤーだと思います。彼のような選手は二度と現れない。世界最高の選手が最高の人格者なんです。プレーは誰も止められないドリブルが最大の魅力で、彼以外にできない。足に磁石が付いている、あるいは手で操っているような技術です。

 --彼のどのような人格に心を打たれたのでしょうか。

 ◆バルセロナの試合は全てテレビで生で見て、試合ごとに尊敬の念が深まっていきました。点を決めた後、皆が集まってメッシとハグする。愛されていることがわかるし、メッシも誰が得点を決めてもたたえる。足を削られても絶対に感情的にならない。相手に報復せず、すぐに立ち上がる。「冗談じゃない」と感情をあらわにする選手が多い中、淡々としている。ファウルだ、イエローではないかと主張はしますが、判定が覆らないことはわかっているから、きちんと従う。その立ち居振る舞いです。

 --ロシア大会はメッシに優勝してほしいと思うサッカーファンが多い。現代サッカーは戦術、組織、データが全盛だが、個人の圧倒的な才能がそれらを打ち破るところが見たいという欲求があるのではないか。

 ◆確かにおっしゃるとおりです。かつて相撲では、小柄な千代の富士が大きな力士を倒して優勝を重ね、我々はその姿に感動しました。必ずしも大きな人が勝つとは限らない、そこがスポーツの面白さでしょう。メッシのように170センチに満たない選手が、大きなDFをかいくぐってゴールを決める。そこが爽快なわけです。それをW杯でも見せてほしい。アルゼンチンは国全体がメッシに期待している。優勝したら経済も良くなるでしょう。一人のサッカー選手が与える影響を考えたら、とてつもないドラマです。だから、そういう夢を見せてほしい。

「イニエスタは主役もやれるのに黒子になる」(『パスコースがない?じゃあ、つくればいい。ルミ子の勝手にサッカー学』より)

神戸への加入が決まったバルセロナの元主将、アンドレス・イニエスタ=ノエビアスタジアム神戸で5月26日、山田尚弘撮影

 --メッシ、アルゼンチン以外で注目の選手、チームは。

 ◆攻守のバランスがとれているのはブラジル、ドイツ。ただ、サッカーは何が起こるかわからないから楽しい。ブラジルもアウベス(パリ・サンジェルマン)がケガで出られない。他の有力選手もコンディションがどうなるか。ドイツも選手層が厚いが、わからない。スペイン、フランスもチャンスはあるでしょう。

 --魅力を知ってほしい選手はいますか。

 ◆エジプトのサラーは欧州チャンピオンズリーグの決勝に進んだリバプールでの今季の活躍はすごかった。スピード、シュート技術を見てほしい。中盤ではフランスのカンテ(チェルシー)。小柄ながらインターセプト、タックル数が多いのにカードをもらわない。カードをもらわないのは予測が早いから。予測が早いのは準備をしている。つまり頭がいい。「地球の3分の1をカバーする」と表現されるほど何人分もの仕事をするんです。

 --他人のために働く献身的な選手を評価されている。

 ◆「自分は中央のポジションだから別のところは関係ない」という選手は、監督としては使いにくいですよね。それは社会でも一緒。カンテは人の分まで働くけれども、おごらない。けなげに献身的にチームの勝利のために働くところをW杯では見てほしい。

 --バルセロナの主将、イニエスタが神戸に加入した。

 ◆まだまだ活躍できる選手ですから、本音はメッシと一緒にプレーするのを見たい。でも日本に来てくれた。これはすごいことです。彼はプレーヤーとしての技術もさることながら、人間性、サッカーに向かう純粋な思い、努力する姿勢など全てが素晴らしいので、Jリーグの選手たちはトータルで吸収してほしいですね。

 --ポルトガル代表でレアル・マドリード(スペイン)のクリスティアノ・ロナルドを嫌いと公言している。

 ◆はい。私はバルセロナのファンですから、永遠のライバルであるレアルを、そしてメッシの大ファンですから、ライバルのロナルドを応援することはありません。それを脇においても、彼が人として優れていると思ったらここまで嫌いにならないでしょう。彼は相手を蹴ったり、チームメートがゴールを決めてもたたえなかったりすることがある。アスリートとしては素晴らしい才能、しかも努力家だと思いますが、試合から見えてくる人間性が尊敬できません。

「ボールが遅いのではない。頭の回転が遅いのだ」(『パスコースがない?じゃあ、つくればいい。ルミ子の勝手にサッカー学』より)

【日本-ガーナ】ガーナに敗れ、ピッチで握手する香川(中央)=横浜・日産スタジアムで2018年5月30日、宮間俊樹撮影

 --日本代表のメンバーをどのように見ていますか。

 ◆リスクを冒さない無難なプランで来たという思いです。直前の監督解任でやむを得ないのかもしれませんが、勝つには点を取るスペシャリストがいないとダメ。リスクを負いたくないという人選に見えます。選んでほしかったのは中島翔哉選手(ポルティモネンセ)。ドリブルでカットインしてシュートまでいける、日本にはなかなかいないタイプで代表に不可欠と思っていました。

 --日本が勝利するためには何が必要だと思いますか。

 ◆全員DF、全員FWの意識ですね。ポジションに関係なく、全員で守り、点を取りに行く。対戦国には確実に点を決める圧倒的な選手がいます。ポーランドはレバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)、コロンビアはファルカオ(モナコ)、セネガルはマネ(リバプール)。日本はどこからでも、誰でも攻めてほしい。栄養ドリンクを10本くらい飲んで全員がハードワークしないといけない。

 --日本の選手は「サッカーIQ」を鍛えるべきだと。

 ◆サッカーは知的なスポーツです。GKと1対1になって慌ててシュートするのではなく、フェイントでかわすには技術、状況判断、「数秒前にDFがあの位置にいたなら、こうすればシュートを決められる」という記憶力も必要だと思います。メッシはボールを持ったら何をするかわからない危険人物になる。でも人格者で、そこを自分でコントロールできる。日本代表の香川真司選手(ドルトムント)には「良い人なのはわかっている。でも、戦う時は相手にとって嫌な選手になれ」と試合前に私が直接言いたい(笑い)。

「パスコースがない?じゃあ、つくればいい。ルミ子の勝手にサッカー学」を出版した歌手・小柳ルミ子さん=2018年5月、小座野容斉撮影

 --サッカーに詳しくない人にW杯観戦のアドバイスを。

 ◆サッカーは人生、社会、人間関係の縮図です。フィールドで、さまざまな人間ドラマ、感動があります。組織の中で個の力が必要とされます。だまされたと思って見てください。世界で一番愛されているスポーツから何かを学べないわけがない。だから、まずは見てほしいと思います。私は全64試合を生で見るつもりです。

 こやなぎ・るみこ 1952年生まれ。福岡市出身。70年に宝塚音楽学校を首席で卒業。翌71年に「わたしの城下町」で歌手デビューし130万枚を超す大ヒットで、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。女優としても「白蛇抄」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などに輝いた。2002年W杯日韓大会をきっかけにサッカーに目覚め、前回14年ブラジル大会は全64試合をテレビ観戦。

 ワンピース2万6000円(シネクァノン/ストックマン、03・3796・6851)ネックレス2万500円、イヤリング4500円(ともにアビステ、03・3401・7124)

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