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号外「はれのひ」社長 詐欺容疑で逮捕
別所哲也さん

短編映画で地域の魅力を世界に発信

 短編映画の祭典「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」(SSFF & ASIA)が6月24日まで東京都内で開かれている。20年目を迎えた今回は、世界130以上の国や地域から過去最多の1万本が集まり、えりすぐられた作品が上映され、出来栄えを競っている。この国際映画祭を主宰している俳優の別所哲也さんは、短編映画を通じて全国の自治体や省庁の情報発信に関わるなど意欲的に活動も続ける。取り組みへの思いを聞いた。(聞き手 本誌・宗岡秀樹)

     --どのような映画祭ですか。

     別所さん 1999年6月4日に東京・表参道で、世界中から米国ハリウッドに集まる25分以内の作品を集めてスタートしました。「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカス監督の応援もあり初年度は彼の作品を上映しました。その後、米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭の認定を受け、今では日本の代表的な映画祭にまで成長したのではないかと思っています。

     --始めたきっかけは?

     別所さん 私はハリウッド映画の俳優としてデビューし、ロスに行くたびに短編映画の上映会に誘われていました。97年秋に10本の短編映画を見て「何て面白いのだろう。映画は長さではない」と感じました。98年1月にロバート・レッドフォードがユタ州でやっているサンダンス映画祭に行ったところ、地域の人たちを含めて一緒に短編も長編も祭りモードで楽しんでいるのを見て、映画祭をやりたいと思いました。さらに3月に米国で日系人のクリス・タシマ監督が杉原千畝リトアニア大使の話を短編映画にした「ビザと美徳」が、アカデミー賞短編実写部門でオスカーを受賞したことが報道されて、短編映画に光が当たったと感じて、映画祭を始めようと思ったのです。

     短編映画は日本では学生の実験映画というような位置づけで、短編映画祭はありませんでした。私は主催とか企画などの経験は全くのゼロで、98年から1年間かけて日米を行ったり来たりしながら東京都や文化庁などに企画書や申請書を持って行ったり、米国大使館の後援をもらうための手続き方法を聞くなど暗中模索、試行錯誤の連続でした。

     --短編映画の魅力は何ですか。

     別所さん 短くても長編映画に負けないくらいの映画的宇宙を持っていて、その中にはさまざまなメッセージや五感に訴える要素があふれている。絵で言うとデッサンのように作者のスタイルが反映されていたり、脚本だけでなく、新しいCGなど技術的な面でも時代を映す鏡になっており、映像の未来が託されています。長編映画が交響曲としたら短編映画はピアノのショパンの小品集のようなものだと思います。審査員をした作家の湊かなえさんは「ショートフィルムは削りの美学」と言ったのですが、削って削って残った部分が光り輝いて、後は想像力にゆだねられる俳句や短歌に似ていると思います。

     --今回の映画祭の特徴は何ですか。

     別所さん 20回目の節目であり集大成でもあります。一つのメッセージとして「シネマスマート」を掲げています。20世紀に人間の素晴らしい想像力をもって作り上げられたシネマから学ぼうというのです。同時にVR(バーチャル・リアリティー)、ノンフィクション、学生の3部門を新しく立ち上げてさらにチャレンジしていく年になると思います。真実であるべきものとか未来に伝えるべきもの、自分たちの五感で楽しいと思うものは何なのか、を表現できる映画祭であって欲しいというのも大きなテーマです。また、ジョージ・ルーカス監督の応援を得てここまでやってきたことで世界初の「ジョージ・ルーカス アワード」という命名権をもらってグランプリを出させてもらえることになりました。

     --東京都と共催のアジア部門も15年目になりました。

     別所さん 石原慎太郎都知事の時に、世界がアジアの時代に入っていく中でアジアや日本にもう少し光を当てたらどうか、とアドバイスをもらい、ショートショートフィルム アジアという弟分の映画祭が生まれました。今は二つの映画祭同時開催という形をとっています。アジアで映像の未来を産業としてどのように目指していくのか、東京都は国際都市の政策としてインバウンドツーリズムをどう支えていくのか、といったところにもつながっています。

     また、映画祭に集まった海外の映画監督に東京の魅力を作品にしてもらうCinematic Tokyo部門を2017年に設立しました。「東京」の魅力を発信する短編映画を公募、上映するとともに、優秀な監督と一緒に東京を舞台にした短編映画を製作するプロジェクトです。

     今年は、「シェイクスピア・イン・トーキョー」というオーストラリアの女性監督による作品が出来上がりました。オーストラリアのビジネスマンの兄に同行して東京に来たシェイクスピア好きのダウン症の弟が、多忙な兄に愛想を尽かし、東京をひとりで探検し、色々な人たちと出会い、シェイクスピアの名言を引用したりしながら交流、東京の魅力を見つけて行くという作品です。異国の地で旅をする中で兄弟愛や、家族とは何かというものに向き合う作品になっています。フェスティバル後、14の言語の字幕をつけてインターネットに乗せて発信、海外の映画祭などでも上映する予定です。

     --多くの自治体とも関わっていますね。

     別所さん SSFF & ASIAのナショナルツアーと銘打って各地で上映会を開きました。短編映画を通じて地域の町おこしや、コミュニティー作り、映像による情報発信のお手伝いをしています。茨城県、埼玉県川越市では地域の魅力を伝えるショートフィルムを募集し、優秀作品を映画祭で上映し、その後世界に発信しています。横浜市では私たちが短編映画専門の常設シアターを10年間やっていたという縁で、今年8月に横浜美術館で上映会を予定しています。横浜市消防局の防災をテーマにしたショートフィルムも全面的にプロデュース、監修し、横浜市の皆さんと議論を重ねながら物語性の高い作品にしました。

     --経済産業省などの省庁とも連携していますね。

     別所さん 「愛・地球博」では経産省と政府出展事業という形でやりました。環境省とはストップ!温暖化部門(現在の「地球を救え!部門」)を立ち上げ、映像によって環境問題の情報やメッセージを発信しています。アル・ゴア元米副大統領の「不都合な真実」という映画が注目を集め、環境に対する機運が高まったときでもありました。観光庁とは、「旅シヨーット!プロジェクト」を立ち上げ、インバウンド観光に大きな役割を果たす映像をさまざまな形で紹介してきました。私自身、ビジットジャパン大使でもあることで観光映像も同時に発信しています。農林水産省とも食のエクスポ・ミラノ博に向けて日本食をテーマにしたショートフィルムを製作しました。

     べっしょ・てつや 1965年静岡県生まれ。慶応大法学部卒。90年日米合作映画「クライシス2050」でハリウッドデビュー。99年から日本発の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル」を主宰し文化庁長官表彰を受ける。観光庁「VISIT JAPAN大使」、映画倫理委員会委員、外務省「ジャパン・ハウス」有識者諮問会議メンバーに就任。内閣府・世界で活躍し「日本」を発信する日本人の1人に選出された。

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