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Interview

中村芝翫 悪人演技に工夫しがい 「六月大歌舞伎」破戒僧役に挑む

六月大歌舞伎「巷談宵宮雨」について語る中村芝翫さん=東京都中央区で2018年5月11日、藤井太郎撮影

 金銭欲の強い破戒僧。時代物のヒーローや世話物のシャープな役を得意とする立ち役が、東京・歌舞伎座の「六月大歌舞伎」の夜の部「巷談宵宮雨(こうだんよみやのあめ)」で、あくの強い老け役に挑んでいる。

     名は龍達。悪事が露見して寺を追われ、おいの太十の長屋に転がり込んだ。龍達は太十に、地中に埋めた100両の隠し金を掘り出してきてほしいと頼む。

     「昭和の黙阿弥」と呼ばれた劇作家宇野信夫の出世作で初演は六世尾上菊五郎。戦後は十七世中村勘三郎が得意として上演を重ねた。笑って、最後にはぞくっとさせられる怪談的要素のある世話物。

     「梅雨でじめじめした6月にふさわしい芝居。子供の時に拝見した勘三郎のおじさまの龍達が強烈で、50歳を過ぎたらぜひ演じたいと思っていました」と思い入れの深さを明かす。

     体のあちこちをかきむしり、頭髪もまばらな当時としては高齢の60歳の悪人である。

     「悪いことばかりして底辺を生きてきた男というところが見えないといけないでしょうし、工夫しがいがあります」

     父の七世芝翫は、世話物の女房役を得意とし、太十の女房おいちもつとめた。

     「父は、世話物は生活のにおいを出すことが必要だと、よく言っていました。それが一番難しいんですよ。世話物の主役は指揮者のようなもの。指揮棒の振り方ひとつで芝居が変わります」

      ■  ■

     4月の「こんぴら歌舞伎」でも演じた「魚屋宗五郎」では、それを実感させられたという。

     「時代物は役にも演出にも魅力があるので、しが(欠点)が隠れますが、世話物は等身大の自分が出ます。紀尾井町のおじさん(二世尾上松緑)のようにできるものと思っていたのが、見るとやるとは大違い。初演では苦労しました。それが、『こんぴら』で、やっとストレスなくできるようになったと思いました」

     さて「宵宮雨」では、どんな指揮を見せてくれることだろう。

     「怖さと笑いのある作品ですが、大仰にしすぎると芝居の方向性が変わります。そこが歌舞伎の難しさです」と気を引き締める。

      ■  ■

     一昨年10月の歌舞伎座で芝翫を襲名し、全国で襲名披露興行を行った。

     「(前名の)橋之助時代は『うまくやらなければ』とか『評価されたい』という思いがあったかもしれません。襲名後は余計なことを考えなくて済むようになった気がします。まだまだ芝翫の名を聞くと父を思い浮かべる方が多いでしょう。もちろん父が忘れられるのは嫌ですが、芝翫と聞けば、僕を思い出していただけるように、『芝翫の舞台はおもしろい』と言っていただけるようになりたいです」

     昼の部では「妹背山(いもせやま)婦女(おんな)庭訓(ていきん)・三笠山御殿」の豆腐買おむらを演じる。「久々の女形で、1992年に初演して以来です」

     26日まで。問い合わせは0570・000・489。【小玉祥子】

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