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メディア時評

安倍政権5年半で何があったのか=白井聡・京都精華大専任講師

 各紙紙面は、連日「モリカケ、モリカケ、モリカケ……」である。正直なところ食傷気味だが、新聞社が悪いわけではない。森友学園問題が表面化してから、すでに1年以上が経過した。「私や妻が関係していたら、首相も議員も辞める」と安倍晋三首相が大見えを切ってから起こったことのリストは長大なものとなる。

     高級官僚による虚偽答弁の連発、経過を国会答弁に適合させるための公文書の改ざんと隠蔽(いんぺい)、虚偽答弁を貫き通した佐川宣寿前国税庁長官の昇格と失墜、籠池泰典前理事長夫妻に対する異常な長期勾留、憲法違反との指摘が相次いだ臨時国会開会の遷延と冒頭解散。会計検査院への対応を巡る財務省と国土交通省の口裏合わせの疑惑も最近加わった。

     財務省が5月23日に国会に提出した森友学園との交渉記録文書では、昭恵氏付職員だった谷査恵子氏が、同省理財局に問い合わせた際の記録もあった。これに対し、安倍首相は「私や妻が関係していたら辞める」とした自らの答弁について、「贈収賄は全くない、という文脈で一切関わっていないと申し上げた」とする「新解釈」を披露した。ここまで書いていて、吐き気を催してくる。日本はここまで堕(お)ちたのかと実感する。

     常軌を逸した政権がこの国を滅ぼすのか、良識が破滅のふちからわれわれを引き返させるのか、メディアにとっても正念場である。そのなかで、毎日新聞5月24日朝刊が、957枚もの交渉記録文書のダイジェストを、事の時系列的経過がよくわかる形式で1ページ全面を使って掲載したことには目を見張った。大量の公文書に目を通すことは一般人には到底無理であり、新聞の存在意義がよく発揮された事案であったと思う。

     モリカケ問題は、安倍政権の不始末のごく一部である。安倍政権の5年余を詳細に振り返り、何があったのかを改めて思い起こさせる報道を期待したい。(大阪本社発行紙面を基に論評)


     ■人物略歴

    しらい・さとし

     1977年東京都生まれ。早稲田大卒、一橋大大学院博士課程単位修得退学。近著に「国体論」(集英社新書)。

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