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社説

ユーロと満20年のECB イタリアが提示した難題

 単一通貨ユーロの政策を担う欧州中央銀行(ECB)が今月、設立から満20年を迎えた。複数の独立国が平和裏に自国通貨を手放し、金利の決定権を全く新しい中央銀行に移譲した前例のない実験だった。

     参加国は11カ国から19カ国に増え、ユーロは国際通貨としてドルに次ぐ地位を確立したようにみえる。

     一方で、誕生当時から不安定化の火種を抱えていたのも疑いない。

     金融政策はECBに一本化されたが、財政は各加盟国に委ねられたままで統合の展望はひらけない。財政危機に陥った国が通貨圏からふるい落とされるリスクに市場の関心が集まると、離脱の連鎖、ユーロの崩壊へと連想が広がる。

     イタリアで今起きていることは、この現実を改めて突きつけた。

     3月の総選挙後、長い混乱を経てようやく連立政権が発足した。一時動揺したイタリアの国債市場もいったん落ち着きを取り戻している。

     しかし、何も手が打たれなければ、ユーロをめぐるイタリアとECBや欧州連合(EU)との摩擦は、今後むしろ深刻化の恐れがある。

     まず注目されるのは、ECBが年内に終了するとみられてきた量的緩和政策の行方だ。財政問題を抱えたイタリアなど南欧諸国の国債が、極めて低い利回りに抑えられていた背景には、ECBによる加盟国国債の大量購入があった。

     量的緩和の終了が決まれば、信用リスクが顕在化して金利が急騰しかねず、緊縮財政を嫌うイタリアの新政権は反発しそうだ。

     ECBの次期総裁人事も控える。イタリア出身のドラギ現総裁は来年任期満了を迎える。後任候補として有力視されているのがドイツ連邦銀行のバイトマン総裁だ。

     イタリアの新内閣で欧州問題担当相となったサボナ元産業相は、ユーロ圏を「ドイツの檻(おり)」と呼ぶなど、財政規律を重んじるドイツが影響力を強めることを警戒している。

     対立の先鋭化は、ユーロを分裂させる遠心力となる。

     欧州の指導者たちは、統合がこの先目指すゴールと歩みのスピードについて、認識を一致させる必要がある。例えば銀行の経営破綻に備えて、共通の預金保険制度を築くことは、意味ある一歩となるはずだ。

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