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社説

政府の放送制度改革案 ネットと同列には扱えぬ

 政府の規制改革推進会議が放送制度の改革案を答申した。番組の政治的公平を定めた放送法4条を撤廃するかが焦点だったが、見送った。

     当初案は撤廃でインターネット事業者の放送参入を促すものだった。安倍晋三首相は政治的公平が不要なネット番組に進んで出演してきた。このため政権に都合のいい番組を増やしたいとの思惑が透けて見えた。

     見送ったのは各方面から反対が強まったからだ。当然の判断である。

     とはいえ政権が完全に諦めたとみるのは早計だろう。気がかりなのは今回の案が放送と通信の融合と称して両者の違いを軽視していることだ。4条撤廃と発想は同じだ。

     代表例は、放送と通信の番組をネットで流す際、同じサイトを使う仕組みを作るよう求めたことだ。

     現在、放送番組のネット配信はNHKと民放が別々に手がける。まず放送を一緒にし、さらにネット事業者も加われる体制にするという。

     ネットの普及でテレビ離れが進む中、規制改革推進会議は、新規参入で競争が加速すると、番組の魅力が高まり視聴者にメリットがあると主張する。本当にそうだろうか。

     参入が増えても質が向上する保証はない。放送はデジタル化でチャンネルが急増した。だが通販番組が多く質が伴っていないと言われる。

     しかもネットは極端に偏った情報やフェイク(偽)ニュースが目立つ。こうした懸念のあるものが放送番組と同じサイトで流れると、区別がはっきりしなくなる恐れがある。これでは視聴者に有害なだけだ。

     今回の案は、体力の弱い地方の放送局に対して、番組制作と放送設備を分離することも促した。

     他局との設備共有化などで経営基盤を強めるという。地方の情報発信拠点の維持は重要だが、設備を持たないネット事業者を参入させやすくする布石を打ったのなら問題だ。

     そもそも民主主義を支える公共的役割を担ってきた放送と、収益など市場原理で動くネット事業者を同列に扱うこと自体に無理がある。

     放送番組の魅力向上に必要なのは制作現場の力を高めることだ。それには、以前から問題になっている労働環境の改善が不可欠である。ネット事業者の参入ありきという逆立ちした発想では解決できない。

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