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沼野充義・評 『地球にちりばめられて』/『エコラリアス』

 ◆『地球にちりばめられて』 多和田葉子・著(講談社・1836円)

 ◆『エコラリアス』 ダニエル・ヘラー=ローゼン著 関口涼子訳(みすず書房・4968円)

理論と創作の奇跡的な同時代的共振

 多和田葉子の新作長編は、ヨーロッパで移動し続ける「移民」たちとその言葉をめぐる冒険の物語である。時代ははっきり示されていないが、近未来か。中心となる登場人物の一人、Hirukoはどうやら日本人らしいのだが、この物語にはそもそも「日本」という国名さえ一度も出てこない。彼女はデンマーク留学中に、自分の国がなぜか消えて帰れなくなり、アンデルセンゆかりの地、オーデンセのメルヘン・センターで紙芝居を子供たちに見せながら暮らしている。

 そんな彼女と知り合ってすぐに親しい仲になるのが、言語学を研究するデンマーク人の青年クヌートである。…

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