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アートの扉

柚木沙弥郎「型染むら雲三彩文着物」 心躍る色とかたち

 日本民芸館の戸を開けると、色とかたちが飛び込んで来た。95歳の型染めの第一人者、柚木沙弥郎さんの作品が吹き抜けの壁に映えている。思想家の柳宗悦(やなぎむねよし)(1889~1961年)が収集した工芸品を中心に展示する同館で、現存作家の個展は版画家の棟方志功以来43年ぶりだという。

     柚木さんは柳の思想や染色家・芹沢〓介(けいすけ)の作品と出合ったことがきっかけで、染色の道を歩み始めた。展示を見ると、小ぶりなパターンの繰り返しで染め抜いた布もあれば、一枚の布全体に大胆に幾何学的な図様を配したものもある。さまざまなバリエーションのなかで、どれにも共通するのは、目にすると心が躍ること。古来、魚介類や植物の文様はさまざまに描かれてきたが、人間や動物の模様は柚木さんならでは。とぼけた表情のヤギやウサギ、サボテンのそばのメキシコ人を見ると、にんまりしてしまう。

     2階の一室では、抽象的な文様の布と、アフリカやアジアの所蔵品を並べるという試みも。アフリカの仮面や日本の土偶と、柚木作品が響き合っている。同館学芸部の月森俊文さんは「かわいらしいだけでなく、強さがそこにある。プリミティブな造形が持つものと同質のものを柚木さんの作品は持っている」と語る。

     力強さといえば、展覧会チラシにも使われているこの着物。柔らかな曲線と明るい色彩で構成されているにもかかわらず、実際に見ると、色とかたちが拮抗(きっこう)し、ある種の緊張感もはらんでいる。紬(つむぎ)の硬質な質感にもよるのだろう。一方ざっくりと織った木綿の作品は、土のような強さがある。「民芸運動の生き字引のような存在」(月森さん)だが、なお、現役である。【高橋咲子】


     ◆プロフィル

    ゆのき・さみろう

     1922(大正11)年、東京生まれ。女子美大で教え、日本民芸館展の審査にも長く携わった。近年は、パリ・ギメ東洋美術館など国内外で展覧会を開催。版画や絵本、ポスターなども手掛けている。


     ◆インフォメーション

    特別展「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」

     24日まで、東京都目黒区駒場の日本民芸館(03・3467・4527)。月曜休館。

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