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@大学 留学生の就職を支援 「日本で」希望は6割、進まぬ採用

3月に開催された外国人向けの就職説明会=東京都新宿区で(写真の一部を修正してあります)

 企業の国際競争力強化や人手不足を補うため、外国人留学生を採用する機運が高まっている。留学生の就職を促すための大学や企業の取り組みを追った。

     ●政府目標50%、説明会も開催

     日本学生支援機構によると、2017年度の大学や短大、専門学校など高等教育機関の外国人留学生は18万8384人で、10年前に比べ約1.5倍に増えた。採用情報が解禁された3月、外国人留学生を対象にした就職説明会が東京都内で開かれた。2日間の開催で国内企業計83社がブースを出展し、約2000人が来場した。

     就職説明会に参加した早稲田大大学院アジア太平洋研究科のイブラヒム・ジャラルさん(25)=英国出身=は「英語を生かしながら、欧州と関係が深い日本で活躍したい」と話す。同説明会を主催するフォースバレー・コンシェルジュの柴崎洋平社長は「国内で就職した外国人留学生のうち、専門学校生が大きな割合を占めている。大学生や大学院生の就職を増やさなければならない」と言う。

     日本学生支援機構が行った15年度の調査によると、大学(学部・院)を卒業・修了した外国人留学生2万3799人のうち、国内で就職したのは35.2%にあたる8367人。一方で日本での就職希望者は63.6%にのぼる。政府は外国人留学生の国内での就職率を50%に上げる目標を掲げている。

     ●企業7割、「外国人」想定せず

     潜在的な就職希望者がいるにもかかわらず、採用が進まないのは企業と学生に溝があるからだ。就職情報会社のディスコが昨年11~12月に行った調査によると、調査に協力した国内企業611社のうち、74.3%が外国籍社員受け入れのための取り組みを行っていなかった。外国籍社員の会社での生かし方や処遇の仕方に不安があり、受け入れ態勢が整っていない企業が多い。

     そんな中、自動車向け電線部品を主力とする住友電気工業(本社・大阪市中央区)は、外国人留学生の採用を強化している。現在、約60人の外国籍社員が働いている。人事部の大沼陽子さんは「グローバル競争を勝ち抜くためにさまざまな視点を持つ人材を採用したい」と話す。同社では、文化の異なる多様な人材を受け入れるために、外国籍社員向けのサポート窓口を開設したほか、イスラム教徒(ムスリム)の祈りの習慣へ対応するため、一部拠点では礼拝スペースの設置などを行ってきた。

     企業と学生の溝を埋めるのに有効なのが、インターンシップ(就職体験)だ。外国人留学生を対象としたインターンを実施する企業も増えており、時間を共有することで、学生の適性や能力の判定にも役立つ。

     群馬県では、群馬大など県内の10大学・高専と県内企業、自治体が連携し、外国人留学生の県内での就職につなげる「グローカル・ハタラクラスぐんま」プロジェクトに取り組む。昨年は群馬県川場村の企業で学生らが1週間働く合宿型のインターンを実施した。参加者からは、異文化に戸惑うこともあるが、日本で働くことを体験できると好評だ。プロジェクトの企画・運営責任者で群馬大大学教育・学生支援機構大学教育センターの結城恵教授は「企業側も外国人留学生ならではの価値観や発想力などに気付くことができる」という。

     企業は採用に関して、高い日本語能力やコミュニケーション能力も重視している。プロジェクトでは、インターンを体験する学生に向けて、必要なビジネス日本語を習得するための講座も組み込んでいる。

     ●日本独自の就活方法に戸惑い

     一方、外国人留学生からは、日本の就職活動の仕組みや業界研究・企業研究の仕方がわからないなどの声が上がる。4月に国内企業に就職した立教大卒の金度潤(キムドジュン)さん(28)=韓国出身=は、日本での就職を希望したが、日本語による適性試験や能力試験、複数回行われる面接など日本独自の就活の仕組みに戸惑ったという。「困った時に相談するなど、大学のキャリアセンターをうまく活用できた」と振り返る。

     立教大は、外国人留学生の増加に伴い、約4年前から就職サポートを強化している。外国人留学生のエントリーシートの指導を行うほか、内定者体験談を聞く会や会社説明会を開き情報を提供する。また、日本語を母語としない学生のために日本語教育を専門とする教員が日本語についての相談を受け付ける「日本語相談室」や外国人留学生の悩みを聞くカフェなども開く。

     今月から採用活動が本格化している。企業にとって外国人留学生の採用は、社員への刺激となり、社内活性化や異文化・多様性への理解向上も促す。これからの大学の取り組みと企業の変革が求められている。【丸山仁見】

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