メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

東海道新幹線殺傷

3人死傷 止めた男性、犠牲に 首に18センチの傷、致命傷か

 神奈川県を走行中の東海道新幹線車内で乗客3人が切りつけられ死傷した事件で、死亡した兵庫県尼崎市の会社員、梅田耕太郎さん(38)の首についた切り傷の長さが約18センチに及ぶことが、捜査関係者への取材で判明した。この傷が致命傷になったとみられ、首周辺には数十カ所も傷があった。神奈川県警は、愛知県岡崎市の無職、小島一朗容疑者(22)=殺人容疑で送検=が強い殺意をもっていたとみている。

     神奈川県警小田原署によると、小島容疑者は9日午後9時45分ごろ、東京発新大阪行き「のぞみ265号」の12号車で、右隣の女性(27)を刃物で切りつけ、通路を挟んで左側の席に座っていた女性(26)も襲撃。さらに止めに入った梅田さんを執拗(しつよう)に切りつけて殺害したとされる。女性2人も背中などにけがをした。

     梅田さんは女性らが切りつけられたことに気づき、止めに入ったとみられる。その間、乗務員は乗客らを他の車両に誘導。小島容疑者はなたで梅田さんに襲いかかったという。

     梅田さんは搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は左総頸(けい)動脈切断などに伴う失血だった。

     右隣の女性は、県警に対し「(容疑者が)立ち上がって何かを振りかざすのが見えたので逃げようとしたが、その瞬間に体に衝撃を感じた」と説明し、不意に襲われたとみられる。

     女性は新横浜駅から乗車し、窓際に座るため通路側の小島容疑者の前を横切ろうとしたが、通るスペースを譲ってもらえず違和感を覚えたという。一方、所持していたなたやナイフについて、小島容疑者が「自分で買った」と供述していることも判明した。【中村紬葵、木下翔太郎】

    自分の正義優先、容疑者がつづる

     小島一朗容疑者は1月まで暮らしていた愛知県岡崎市の伯父(57)方に、自殺願望や自身の在り方の悩みを記したメモを残していた。周囲には「自分は価値のない人間。自由に生きたい。それが許されないのなら死にたい」と話していたという。

     伯父らによると、小島容疑者は昨年2~4月ごろ、大学ノートや紙切れに自身の思いなどを記した。大学ノートには「私は暴力がいけないことだというのは分かっている。しかし私は自分自身の正義の方を優先したい」と書いていた。「私は自分が正しいとは思わない。新しい自己、もしくは欠けているものをとりもどす」との記述もあった。

     小島容疑者は両親の元を離れ、県内の生活困窮者の支援施設で暮らしながら、定時制高校に通った。卒業後は機械修理会社に就職したものの、人間関係を理由に退職した。2016年4月ごろから同県岡崎市の伯父方で暮らしたが引きこもりがちで、今年1月、行方を告げずに家を出た。

     小島容疑者の母親は11日、報道各社に「被害にあわれた方々に心から深くおわび申し上げます」とするコメントを寄せた。小島容疑者が自殺をほのめかし家出を繰り返したとして「無理やりにでも連れ戻していたらと悔いが残る」としている。【井口慎太郎】

    「温厚で明るい」社員失い悲しみ

     亡くなった梅田耕太郎さんが勤めていた化学メーカー「BASFジャパン」(東京都港区)では11日、上司の山本勇事業部長(48)が報道陣の取材に応じ、時折声を詰まらせながら「非常に悲しいし無念。こんなことはあってはならない」と語った。

     梅田さんはプラスチックの原料を取り扱う事業部で新規用途開発と営業マネジャーを担当。取引先からも、明るく前向きで頭も切れると評判だったという。

     職場は同社の大阪オフィス(大阪市)だが、月に3、4回は東京や横浜へ出張しており、事件直前の7~8日も横浜オフィスで行われた研修に参加していた。その帰路で被害に遭った。

     山本部長は「研修で『また来週』と話したが、いつも通りの温厚で明るい彼だった。いまだに信じられない」と話し、涙をぬぐった。【山田麻未】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 大阪震度6弱 ラッシュ直撃 「一緒にいた子が」児童犠牲
    2. カフェイン中毒死 九州の20代男性、大量摂取で 「エナジードリンク」常飲
    3. 資産家急死 飼い犬死骸を捜索 覚醒剤成分有無を調査へ
    4. ルポ女子少年院 居場所を探して覚醒剤に手を出した少女
    5. サッカーキング 白星発進の日本、試合後はサポーターがゴミ拾い…コロンビア紙が賛辞

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]