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劇作家・宮本研 没後30年 昭和史考える手掛かり 『エッセイ・コレクション』刊行

宮本研エッセイ・コレクション

 戦後演劇史に大きな足跡を刻む劇作家、宮本研(1926~88年)が亡くなって今年で30年。『宮本研エッセイ・コレクション』(全4巻、一葉社)が刊行中だ。雑誌や公演パンフレットに発表されたほとんどのものを初収録。長男で編者の宮本新さん(62)は「父の生涯は『昭和』という年号でくくられる時間とほぼ重なり合う。昭和史を考える上でも重要な手掛かりを多く含んでいるように思う」と意義づける。

     宮本研は熊本県生まれ。法務省在職中(62年退職)に演劇活動を始めた。代表作に、自身の勤労動員体験も基になった「反応工程」や、戦後日本の労働運動の行方を左右した2・1ゼネストが題材の「日本人民共和国」、足尾銅山鉱毒事件を扱った「明治の柩(ひつぎ)」、大正期の青春群像劇「美しきものの伝説」など。人間、国家への普遍的な考察に富む骨太なセリフ劇は、今も繰り返し上演されている。

     戯曲やラジオドラマ執筆の傍ら、約500点、3000枚以上の評論やエッセーを残したが、一部を除き、まとまった形では出版されていなかった。新さんは「このまま埋もれては大変なことになると思った」と言う。

    宮本研

     エッセー集は発表年で4期に分け、それぞれの収録エッセーからタイトルを取り、「夏雲の記憶」(57~67年)▽「<革命>--四つの光芒(こうぼう)」(68~73年)▽「中国と滔天と私」(74~81年)▽「時を曳(ひ)く」(82~88年)--としている。また、自身の作品論や演劇論、人物論などテーマごとに章立て。創作に至る劇作家の多角的な視点、思考の原点が浮かび上がる。

     「書いていくことと、生きているということは切り離せないことだった。生死にかかわる時間の中で生きていて、その中で考えたことを体験と引き換えに書いた」と間近に父を見てきた新さん。特に指摘するのは、20歳前後で敗戦を迎え、大きな価値の転換を体験したということだ。

     「思春期を軍国少年として過ごした自分を振り返る際に、外に原因を求めるのではなく、自分自身の中に原因を求めようとする意識があったような気がする。『明治の柩』の中で田中正造の中の天皇制を描く際にも、同時に自分自身の中の天皇制を見つめていたのだと思います」

     現代に響くシリアスな論評の一方、ユーモアあふれる観察眼と筆致でも引きつける。「目のつけどころが面白いし、その書きようも面白い。若い演劇人にも読んでもらいたい」

     第3巻は7月下旬、第4巻は10月下旬に刊行予定。【濱田元子】

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