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寄席

五代目小さん 十七回忌追善興行 小三治、絶妙の「間」=評・濱田元子

 今年は五代目柳家小さん(1915~2002年)の十七回忌。昭和を代表する噺家(はなしか)であり、噺家初の人間国宝となった。そのレガシーは10日間、ずらっと並んだ一門の弟子らが何よりも雄弁に物語る。

     命日の16日を挟んだ5月中席の特別興行。大看板の弟子が日替わりでトリを務め、さらに口上や対談・鼎談(ていだん)、中入り前の「小さん十八番」といった趣向を凝らした。

     満席となった初日のトリは、師と同じく人間国宝の柳家小三治。「いくら思い出しても、思い出し足りない」とマクラを切り出し、昔、「粗忽(そこつ)長屋」が大うけした後、「うけりゃいいってもんじゃない」と言われたエピソードを披露。「『その人をその人らしくやる』ということ。師匠に追いつき追い越せでやっていきたい」と語り、「千早ふる」ヘ。

     百人一首の在原業平の歌の意味をたずねられた、知ったかぶりのご隠居さんの繰り出す珍解釈に、きいた方も観客も思わず引き込まれていくのが眼目だ。

     小三治のご隠居は、終始とぼけた味わい。2人のやりとりの絶妙の間が心をくすぐる。何がおかしいというより、何だかおかしいという境地へ連れていく。噺の世界に心地よく遊ぶ感覚が、小さんの言う「うけりゃいいってもんじゃない」という神髄につながっていくのだろう。

     中入り前は小満(こま)んが、小さん十八番のうちから「猫の災難」。酒好きの男が、猫の余り物でもらったタイの頭としっぽをダシに酒にありつく。小満んは洒脱(しゃだつ)ななかに愛嬌(あいきょう)がこぼれる。一杯、また一杯と、次第に酔っていく様も鮮やかで、仕事が休みの日に酒を飲む男の喜びがじわっと伝わった。

     鈴々舎馬風と小三治の対談は、修業時代の思い出噺。ほかに小さんの息子の六代目が「のめる」、孫の花緑が「蜘蛛(くも)駕籠(かご)」など。

     平成もあと1年を切った。「昭和の名人」という言葉も、さらに遠くになるのだろうか。【濱田元子】

     東京・新宿末広亭で5月11日

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