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子どもみんなで支える

わこう版ネウボラの挑戦/3 情報の「統合」目指し ケア会議で多職種連携 /埼玉

 「この子が小学1年生になった時の姿をどうイメージしていますか?」

     和光市役所で3月に開かれた、緊急性の高いケースや多職種(看護師、ヘルパーなど)の連携が必要なケースについて検討する「コミュニティケア会議(こども部会)」。司会を務めた当時の市保健福祉部長、東内(とうない)京一さん(現教育部長)が、ケアプランを作成した子育て世代包括支援センターのケアマネジャーに質問した。ケアマネがプランに沿って答えると、東内部長はアドバイスを加えながら質問を重ねる。「そのイメージを実現するために、今どんなサポートが必要ですか?」

         ◇

     わこう版ネウボラの特徴は、介護保険法で位置づけられた高齢者の介護予防・生活支援のための「地域ケア会議」の枠組みを子育て支援にも応用していることだ。会議は月2回開かれ、高齢、障害部会に続き「子ども部会」が行われる。

     参加するのは同センターのケアマネや市地域包括ケア課など関係部署の職員のほか、管理栄養士や薬剤師など外部の助言者も含まれる。ケースごとに、チームとなる保育所や学校の担任、NPO関係者、家事支援を提供する訪問介護事業所などの職員が参加し、総勢は約30人に及ぶ。

     検討時間は1ケースにつき約15~20分。市が会議で徹底しているのは、トイレで1人で排せつできる、遅刻せずに登校できる--など小1、中1などの節目に子どもと家族がどのような生活ができているか、ケアチームの全メンバーが共通イメージを持てるようにすることだ。その上で目標達成のために必要な支援を検討する。

     「多制度多職種にまたがるチームを機能させるには情報の『共有』では足りない。一人一人が目標を理解した上でチームを『統合』するくらいの感覚が必要だ」と東内さんは語る。

     外部の助言者は栄養や薬剤など専門家の視点から、支援で注意すべき点を指摘する。例えば母親が精神疾患で家事が思うようにできないケースでは、栄養面なら「いずれ支援がなくなる時を視野に入れ、家事支援で既製の総菜がおいしく食べられる一工夫を伝授する」、薬剤なら「薬ののみ合わせを確認する」--などだ。会議に参加したケアマネの一人は「自分にはない視点のアドバイスがもらえ、スキルアップにもつながる」と語った。

         ◇

     和光市では児童虐待に迅速に対処するためにも、子ども部会を活用している。親からの虐待で保護が必要な子どもへの対応について、市と児童相談所、警察などの関係機関が協議する法定の「要保護児童対策地域協議会(要対協)」の実務者会議を子ども部会と同じ形式で行い、ケースに応じて機動的なチーム編成をする。

     2017年には、要対協と市独自に設置しているドメスティックバイオレンス(DV)対策のための関係機関による協議会を一本化した。それまで子ども担当の課と人権担当の課がそれぞれ担ってきた各協議会の調整機能を地域包括ケア課に集約した。これにより、密接な関係にある児童虐待と夫婦間のDVを一体的に検討できる体制を整えた。

     東内さんは「縦割りのはざまで多くの子どもの命が失われている。本気で解消しなければ命は守れない」と強調する。=つづく


     ■ことば

    ネウボラ

     フィンランドで1920年ごろに始まった子育て支援拠点で、フィンランド語で「助言する場所」を意味する。妊娠期から就学期まですべての家庭を支援し、産後うつや虐待の減少などに効果が上がっている。

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