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メディア時評

新聞も意識を変えてこそ=藤田結子・明治大教授

 雑誌には女性誌・男性誌があるが、新聞は女性紙・男性紙とはいわない。でも近ごろ私は疲れ目なのか、毎日新聞の紙面がときどき男性紙に見えてしまうのだ。

     5月17日の社説「女性候補を増やす法律 政党が意識を変えてこそ」は、政治分野における男女共同参画推進法を取り上げている。この法は、「選挙の際に男女の候補者数ができる限り半々になるよう、政党に自主的な努力を求めている」。ならば、新聞の紙面はどうだろう。毎日新聞は他紙と比べて女性や少数派に寄り添っていて、その点は大いに評価されるべきだ。しかし、紙面上の登場人物や視点が男性に寄り添いすぎじゃないか、と思うときがある。

     実際に数えてみた。まず、時事ニュースについて識者に見解を聞く「論点」。5月の論者32人のうち男性が24人、女性は8人だった。日曜朝刊の書評欄の「今週の本棚」は、今年5月までの1年間、評者の7割が男性だった。選ばれる本も男性の関心があるテーマのものが多くなりがちだ。毎日記者による「火論」「水説」「木語」「金言」「土記」という朝刊コラムは男性4人、女性1人。これらの男女数ができる限り半々になるよう、自主的な努力を求めたい。

     ニュースは事実の客観的記述というよりも、記者が情報を取捨選択し加工した産物だ、と米国のニュース社会学では言われている。男性の視点か女性の視点かによって語られる現実も異なるだろう。いくら中立や客観性を心がけても、書き手・話し手の主観からは逃れられない。

     前出の社説は指摘する。「『実際に女性候補を増やすのは難しい』との声も政党幹部からは聞かれる。本当に意識を変えたうえでの立法なのか、こころもとない」。深くうなずく。新聞も人材がいないなんて言わずに「意識を変えてこそ」。各「男性紙」は人口の半分を占める女性の読者をみすみす逃しちゃっていいの?とも思うのである。(東京本社発行紙面を基に論評)


     ■人物略歴

    ふじた・ゆいこ

     専門は社会学。ロンドン大で博士号。著書に「文化移民」「ワンオペ育児」。

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