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揺れる民泊

/上 新法施行、あす全面解禁 規制強化「ヤミ化」懸念 安価な施設、需要多く

 福岡市早良区の閑静な住宅街で、スーツケースを引いた外国人の姿が突如目立つようになったのは昨年12月のことだった。理由は住宅街の一角にある新築の一軒家。近隣住人によると、完成してすぐ市内の中国人男性に貸し出され、その後、インターネットの民泊仲介サイトに「1泊7254円」で掲載されるようになった。

     「違法民泊では」。そう問いただす住人らに、男性は「世話になった人を泊めているだけ」と答えた。1月には利用者が車をこの家の塀にぶつける事故も発生。警察に相談しても「家の利用実態がつかめない」と取り合ってもらえなかった。

     5月末、記者は問題の家を訪ねた。呼び鈴を鳴らすと、金髪の中年女性が子供2人を連れて出てきた。女性は「ロシア人」とだけ答え、それ以上は問いかけにも応じず無言で玄関ドアを閉めた。

     同市博多区の分譲マンションでも2016年ごろから観光客らしき外国人が出入りするようになった。たばこのポイ捨てなども確認され、マンション管理組合が所有者の韓国人女性に「住宅でない利用は規約違反」と繰り返し指摘すると、女性は昨年夏に部屋を売って出て行った。

     訪日外国人の増加を背景に、個人の住宅や部屋を有償で貸す「民泊」が急増している。九州観光推進機構によると、九州で16~17年に宿泊した訪日外国人の1割近くは民泊を利用したと推計される。だが急成長の陰で、許可を得ないままルールを守らず営業する「ヤミ民泊」が横行し、地域とのあつれきも各地で問題化している。

     そうした中、15日に民泊が全面解禁される。従来は旅館業法の許可を受けるか、国家戦略特区で営業するかしかなかったが、15日施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)は、都道府県などに届け出れば誰もが合法的に民泊を始められる。門戸を広げる一方で、民泊仲介サイト上でのヤミ民泊の掲載を禁じたり、罰則を設けたりして、ヤミ民泊をなくしていくというのが国の考えだ。

     国内の民泊の大半を網羅する大手仲介サイト「エアビーアンドビー」も「新法施行後はヤミ民泊の仲介はしない」と表明。民泊調査会社によると、5月末に約5万5000件あったエアビー社の掲載件数は今月初め、1万数千件に減っていた。

     しかし、マンションなどからの依頼でヤミ民泊を調査する「民泊バスターズ」の中山十蔵代表は「新法は民泊の営業日数を年間180日以下とするなど規制が多く、正規営業では利益が出にくい。ヤミ民泊は残るだろう」と指摘する。「仲介サイトに頼らず、日本の法律が及ばない海外の旅行代理店と直接やりとりするヤミ民泊業者もあると聞く。実態把握は困難だ」

     観光庁によると、新法に基づく民泊の届け出が始まった3月15日から6月8日までに届け出たのは2707件。様子見の業者も多いとみられるが、ヤミで続ける民泊の存在も否定できない。

     <1カ月4万円~ 1日3500円~ きれいな家です>

     東京・新大久保のコリアンタウン。ハングルのフリーペーパーに、民泊の広告が並ぶ。民泊経営の男性が言う。「外国人旅行者が増えホテル代は高騰する一方だ。安価なヤミ民泊はなくならない」

        ◇

     20年の東京五輪を前に政府は民泊の全面解禁に踏み切る。現状や課題を追った。

    年間180日以下に制限

     住宅宿泊事業法に基づく民泊は、旅館業法の簡易宿所(民泊)では認められていなかった住宅地での営業も可能になる。ただ旅館・ホテル業と線引きするため営業日数が年間180日以下に制限されるほか、苦情があれば対応するなど住民とのトラブル防止措置が求められる。条例で営業地域や日数を独自に狭める自治体もある。

     ヤミ民泊対策としては、民泊仲介サイトの運営業者がヤミ民泊を掲載し改善命令に従わない場合、30万円以下の罰金を科す罰則を新設。旅館業法も同時に改正し、ヤミ民泊の罰金を3万円以下から100万円以下に引き上げた。

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