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身じまい自習室

/5 単身世帯のお金整理 「いま」やれば楽になる /東京

実家に届いた金融機関や保険会社からの通知書の山

 以前、九州の実家に帰省したときのこと。ひとり暮らしをする80歳の母と話していて、「何がどこにあるのやら、よーわからん」と言われた。預貯金の話だった。きちんとしておいた方がよかろうと、軽い気持ちで整理を始めた。ところが、これが大仕事になった。

 母は、たんすの上から大きな菓子箱を取り出してきて「通帳類はこの中に全部あると思う」という。それから、各種通知書がどさっと目の前に置かれた。生命保険の証書なども交じっていた。

 は? 何これ?

 通帳といっても、定額、定期いろいろあるし、金融機関名もさまざま。満期になっているものもあれば、あれっ、この銀行、名前が最近変わってるぞ。前は何っていう名前だったの? 「知らんよ、なんとか信金やったと思う」……。

 私は自分のことはいいかげんだが、自分以外の人のものについてはきれいに整理したがるというヘンな性質がある。ここは冷静にならなきゃ。この状況を打開するため<預金><保険><その他>に分けて紙に書き出した。預金に関係する金融機関は五つあることが判明。保険関係は死亡保険から入院保険までいろいろ。払い戻しがあったり、掛け捨てのがあったり。そのほか家の権利書とかも。高齢者にとって、預金も保険も権利書も、みんな「金目のもの」というくくりなのだろう。

 整理をしたのち、たまたま家にあったジャバラ式のファイルケースに名札をつけて入れていく。2時間ほどかけて、丸々太った「わが家の資産ファイル」が出来上がった。

 でも、これで完了ではなかった。証書と通知書を突き合わせていくと、疑問が生じたのだ。「無料」といわれて義理でつくった銀行のカード(未使用)なのに、どうして月会費が引かれているか。なぜ外貨建ての債券を持っているのか……。

 母は「わからんから聞きに行く」と言い出す。えっ、どこに? 「本店に行って聞けばいいじゃない!」。言葉の通り、母は車に乗って地銀の本店に行って、名前を名乗り、わからないことがあるから教えて、と告げた。係の行員がすぐ出てきて、いろいろ説明してくれ、現在の残高などを印刷もしてくれた。忙しい首都圏の銀行じゃ、こんな素早い対応、まずできない。そばの男(私のこと)も、確認なしで息子と信じてもらった。月会費無料の件は「公共料金の引き出し口座にしてくれたら」という条件付きだったらしい。母は「そんなこと聞いていない」と主張した。

 地方にはそこに見合った人間関係があるのだろう。濃厚で、ある意味いいかげん。それはいいとして、やはりお金の整理は、いますぐやるに限る。先延ばしにしなければ、親も子も楽になる。【滝野隆浩・58歳】=次回は29日掲載

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