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余録

カリフォルニアの大農園主の元に…

 カリフォルニアの大農園主の元に川底で拾った金の粒が持ち込まれたのは1848年だった。彼は100人以上の使用人を集めてそれを明かし、新しい製粉所が完成する6週間後まで秘密を守るよう求めた▲たちまち使用人は一人残らず川をめざして走り出し、農園は崩壊して幸運なはずの農園主は悲惨な運命をたどる(猿谷要(さるや・かなめ)著「アメリカ500年の物語」)。大量の金採掘で世界の通貨事情を一変させたゴールドラッシュの発端だった▲われ先にと人を駆り立てる金の魔力である。この金の採掘にたとえられる仮想通貨の「マイニング(採掘)」はネット上の膨大な計算作業によって行われる。その計算に他人のパソコン(PC)を無断利用するのはさて違法かどうか▲神奈川などの10県警は自らのホームページに閲覧者のPCをマイニングに参加させるプログラムを仕込んでいた計16人を摘発した。閲覧者が知らないうちにそのPCや電力をマイニングに利用し、報酬を得るのを違法とみなしたのだ▲だが摘発された男性の一人は、ホームページから閲覧者のPCに指示を出す仕組みは広告ではふつうだと主張し、罰金の略式命令を拒んで正式裁判で争うという。生き馬の目を抜く仮想通貨採掘の是非、司法が判断を下すことになる▲ちなみにこの男性が得た額面上の報酬は900円とか。誰もが一獲千金(いっかくせんきん)を夢見たゴールドラッシュでも実際に巨利を得たのは金鉱を探した人ではない。彼らにシャベルやジーンズを高く売りつけた人々だった。

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