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社説

民泊新法がスタート 多様な「宿」の形育てたい

 自宅の空き部屋などを旅行者に有料で貸す民泊が、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により解禁された。都道府県に届け出をすれば、年180泊を上限に、誰でも宿泊の場を提供できる。新しい滞在形態の広がりが期待された。

     ところが何とも暗い幕開けのようだ。これまであいまいだったルールが明文化されたため、「解禁」というより規制導入の印象となった。自治体が条例で規制を上乗せしたこともあり、届け出は8日現在、全国で2707件と極めて低調である。新法施行を機に民泊から手を引く家主も少なくないようだ。

     新法施行を前に、混乱が起きたことも、幕開けに水を差した。家主と利用者をつなぐ民泊仲介サイト世界最大手が施行直前に突然、不適格となる宿泊予約を多数キャンセルしたのだ。変更費の補填(ほてん)など自社負担となるが、観光庁の求めに従った。

     なぜこうしたマイナスイメージのスタートになってしまったのか。

     ひとことで言えば、新法への思いが関係者間でバラバラだったためだろう。

     経済成長の切り札として外国人観光客をさらに呼び込みたい国は、民泊を宿泊所不足を補う手っ取り早い供給源と期待した。

     収益狙いで参入する業者、異文化交流に貢献したい個人家主、空き家対策や地域活性化をもくろむ自治体に、治安悪化や住民トラブルを回避したい自治体、といった具合だ。

     結局、条例という規制の上乗せにより、手続きが煩雑になったり、一律の禁止ルールが、旅行者へのもてなしを重視する個人家主を排除したり、と皮肉な結果を招いた。

     例えば、貸手が民泊当日に1時間以上自宅を空けると、「家主不在型」とみなされ、マンションを借り上げる営利目的の企業と同じ厳しい扱いとなることなどだ。

     住宅専用地区や学校のある地区での民泊を週末に限定する条例もある。家主同居型の住宅なら、外国人旅行者が地域コミュニティーと触れ合う貴重な機会となりはしないか。

     忘れてならないのは、なぜ「民泊」と呼ぶのかという原点だ。学びながら規制を改良し、さまざまな日本の顔に出会える「宿」をおもしろくしていきたい。

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