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メディア時評

印象深かった旧優生保護法報道=小野有五・北海道大名誉教授

 5月は障がい者たちへの強制的な不妊手術をもたらした旧優生保護法の問題が各メディアで大きく取り上げられた。中でも同4日の毎日新聞の10、11面全部と24面の半分近くを使った特集記事「旧優生保護法を問う」は出色だった。

     1948年に成立した旧優生保護法は、敗戦後の日本再興に向けて議員立法で作られた法律であったが、敗戦後初の衆院選で当選した女性議員の一人、社会党の加藤シヅエ氏がその提案者の一人であったことを記事で知らされて、疑問に感じた人も多かったのではないだろうか。彼女の名は市川房枝氏とともに、日本における女性解放運動の先駆者として記憶されているからである。

     この疑問にきちんと答えようとしたのは、北海道では5月28日午前2時20分からHBC報道スペシャル(北海道放送)で放映された「“不幸な子ども”を生きて~旧優生保護法がもたらしたもの~」である。そこでは加藤氏が、後に離婚する最初の夫、石本恵吉男爵の赴任地の三井三池炭鉱で乳幼児を抱え暗い坑内で働く女性たちの悲惨な姿を目の当たりにし、極貧にある女性を救うには産児制限しかないと考える経緯が当時の映像とともに説明されていた。加藤氏の娘でコーディネーターとして活躍してきた加藤タキ氏が、当時の状況を考えれば、現在の視点だけからシヅエ氏を一方的に責めるのは疑問と語っていたのも印象に残った。

     民放に限らずNHKでもきちんとした取材に基づき問題点を掘り下げる良質なドキュメンタリー番組の放映がたいてい深夜なのは大きな問題であろう。一方、前述の毎日新聞では障がいをもつ安積遊歩さんが、94年の国際会議で世界に向かって初めてこの法律の撤廃を訴え、それが撤廃を大きく前進させた事実を、彼女への取材で掘り起こした記事が光っていた。(北海道支社発行紙面を基に論評)


     ■人物略歴

    おの・ゆうご

     1948年東京都生まれ。専門は環境科学、自然地理学。「行動する市民科学者の会・北海道」事務局長。

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