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社説

米韓が合同演習中止発表 同盟国との議論を十分に

 米韓両政府は、8月に予定されていた米韓合同軍事演習「フリーダムガーディアン」の中止を発表した。米韓両軍は年に3回、大規模演習を実施している。今回中止するのは、北朝鮮の侵攻により全面戦争が発生した場合を仮定した図上演習だ。

     先の米朝会談後に発表された共同声明で、トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は相互信頼構築が朝鮮半島の非核化を促すとの立場を表明した。朝鮮戦争以来、長年敵対してきた両国の関係が改善し、北朝鮮の非核化に資するのであれば演習中止は理解できる。

     今回の米朝合意は、まず非核化が先との考え方ではなく、信頼醸成から始める手法だ。米韓両国は、1990年代前半にも北朝鮮の非核化を後押ししようと演習を中止したことがある。演習の実施の有無は外交的なメッセージであり、北朝鮮が相応の措置を取ることを期待したい。

     しかし、トランプ大統領のアプローチには懸念を持たざるを得ない。

     演習についてトランプ大統領は「戦争ゲーム」と表現し、「高くつく」と費用面の問題をあげた。「非常に挑発的」で実施は不適切との認識も示した。

     また、将来的な在韓米軍の撤退に意欲を示した。さすがに即座の撤退は否定したものの、安全保障問題より金銭的な損得勘定が優先との本音が垣間見えたようだった。

     さらに中止決定に当たり、当事者の韓国との事前協議がなかったことも不安を抱かせた。

     米国は北朝鮮の行動次第で演習を再開する構えで、とりあえず今回の演習を中止したに過ぎないとも言える。とはいえ抑止力の低下につながる不安も残る。

     日本は表向き演習中止に理解を示している。ただ、政府内では日米同盟にも影響が出かねないと警戒する声が出ている。

     金委員長はこの3カ月間で3回訪中し、米中のバランス外交を展開している。大国間のパワーゲームの中、北朝鮮が有利な立場にあるとの指摘もあり、完全な非核化実現までには紆余(うよ)曲折が予想される。

     北東アジアに残る冷戦構造は流動化し始めた。同盟国との意思疎通が不十分では、誤解や不信が生じかねない。関係国との議論が不可欠だ。

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