メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

追跡

当番医「強制」に異議 医師会を提訴 大分・津久見

 医師不足などで夜間や休日に救急患者を診療する「在宅当番医制度」を巡り、大分県津久見市の男性医師が当番医への参加を強制する市医師会決議の無効確認を求め裁判を起こす事態になっている。男性医師は「当番医制度は必要だが強制は行き過ぎで、診療行為の自由を侵害している」と主張するが、市医師会は「決議は地域医療を支えるために必要」と反論。背景には地域医療の危機的状況があり、医師確保など早急な対策が求められる。

     訴状などによると、40代の男性医師は2016年8月、市医師会に土曜夜間の当番医の報酬増額を求めたが応じてもらえず、同年12月の土曜夜間の当番を拒否した。市医師会が当番医を強制する規定を決議すると男性医師はさらに反発。17年10月以降の全ての当番を拒否し、市医師会は男性医師を戒告処分とした。男性医師は今年2月、大分地裁に提訴。市医師会側は請求棄却を求めて争っている。

     市医師会は平日・土曜の夜間と日祝日の日中に当番医制度を導入しており、単科医院などを除く10医院の医師で当番医を振り分けている。報酬は平日・土曜7000円、日祝日8500円。市医師会の担当者は「都市部と比較して会員数は少なく当番医を回すのが窮屈な状況が続いている。協力を得られるよう引き続き努力したい」と危機感を示す。

     男性医師は「医師1人で当番医をせざるを得ず、医療事故のリスクが高い」「看護師ら医療スタッフを確保したくても報酬が少なくてできない」と土曜夜間の当番医を拒否した理由を説明。「安心して医療を受けられる体制にするため、現状を追認せず考えなければならない」としている。

     市内の医療関係者は「任意制にして当番医をやらない医師が出れば、他の医師の負担が増えて地域医療が崩壊しかねない」と男性医師の主張に疑問を示す。男性医師は7月から当番医に復帰する予定だが、あくまで「当番医は必要」との認識を示すためで、当番医の強制への反対姿勢は崩していないという。【田畠広景】

    導入地区、10年で1割減

     医師不足や高齢化が進む地方では、在宅当番医制度を含む初期救急医療体制を維持するため、さまざまな取り組みが続いている。

     厚生労働省によると、軽症の救急患者受け入れのため休日や夜間に在宅当番医制度を導入しているのは全国600地区(2017年3月末現在)で、10年前に比べ約1割減った。救急医療体制に詳しい北九州市立八幡病院の伊藤重彦副院長は「在宅当番医は検査機器が限られる中で不特定多数の患者を診療しなければならず、地方では当番医を担う新規開業も少ないため負担が大きい」と指摘する。

     宮崎県延岡市では、09年から市内で新たに開業する医師に休日当番医などの協力義務を条件に奨励金500万円を出す。これまでに内科医や整形外科医など8人が開業し、市は「開業医の若返りにもつながり、現状は良くなった」としている。山口市医師会は昨年、当番医の高齢化などを理由に休日日中の内科患者受け入れを市の急病診療所に集約するよう市に要望。市医師会は「新規開業や後継者もほとんどいない。将来に向けて行政にも対策を考えてほしい」と危機感を募らせる。

     伊藤副院長は「地元医師会を中心にした地域貢献や使命感だけで制度は支えきれない。行政が関わって当番医の利用状況や負担要因を検証し、近隣市町村との連携や病院勤務医から応援を受けやすい急患センター設置などを検討すべきだ」と話す。【青木絵美】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. ケンタッキー フライドチキン食べ放題 20日から
    2. まとメシ 寿司食べ放題店を潜入調査!寿司好きが満足できる、東京都内のおすすめ店を紹介!
    3. カネテツ ウナギ高騰 本物そっくり「ほぼうなぎ」販売
    4. 千葉のホテル チャーシュー無許可製造 金属片混入で発覚
    5. 男児熱射病死 救急要請遅れか マニュアル具体的指示なし

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]