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ひと

内藤啓子さん=第66回日本エッセイスト・クラブ賞に決まった

内藤啓子さん

内藤啓子(ないとう・けいこ)さん(65)

 芥川賞作家、阪田寛夫(1925~2005年)の生涯を、娘の視点から「枕詞(まくらことば)はサッちゃん」(新潮社)にまとめた。童謡「サッちゃん」を作詞した紳士も家では「変なオジサン」。「実際に呼び名は『オジサン』だったのです。離婚し別の家族ができた日に備え、父とは呼んでくれるなと」。いまわの際にも医師らの手前、「オ」まで叫んで絶句するはめに。「被害者として真の姿を書いてやれ」と筆を執った。

     「幼なじみの母からは子分扱いをされていた」父。晩年は認知症を患った妻の介護で心身を病んだ。「遺品を整理していたら、メモでも面白い。言葉を大切にしていたからこそ、いつか自分も語彙(ごい)を失うという恐怖に耐えられなかったのかもしれません」。執筆を通じて見えてきたのは、不滅の詩心だ。副題は「照れやな詩人、父・阪田寛夫の人生」とした。

     父の詩を引いて随想を広げた全24章。「母を大切に思っていたこと。代々のキリスト教徒としての葛藤」などを、歯切れよくつづった。打てば響く知性と含羞、そして深い情が行間ににじむ。

     妹は元宝塚トップスターの大浦みずき。自身は父の秘書として原稿を清書し、後には妹の個人事務所の社長を務め、裏方に徹して家族をみとってきた。「父は亡き祖母を描いた『土の器』で芥川賞を頂きハイエナと呼ばれましたが、私も倣った形。被害は甚大ながら、感謝すべき点もあったということでしょうか」<文・斉藤希史子 写真・根岸基弘>


     ■人物略歴

     大阪府出身。東京女子大日本文学科卒。日本エッセイスト・クラブ賞の贈呈式は25日、東京都内で開かれる。

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