戦後、昭和の後半期を通じて、明治民法から続く「イエ(家)制度」の影響を引きずる形で日本の墓は後継ぎがいることを前提にした「〇〇家之墓」が当たり前だった。ところが、1990年代に入ると、増えてきた非婚者から異議が出始める。「承継者(後継ぎ)がいないと墓が持てないのはおかしい」と。また、「夫の実家の墓には入る気がしない」という妻側からの声も高まった。さらに、バブル経済期の地価高騰のあおりで墓地の購入費用が値上がりして、「カネ」の面からも従来型の墓に対する不満はふつうの人たちの間にも蓄積していた。
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