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 <ぐるっと兵庫・大阪・京都 学ぶ・育つ・挑む>

    個人差や体調も関係

     梅雨に入り、体調が気になる季節になりました。

     1999年7月27日、中学校のラグビー部の早朝練習中に、宮脇健斗さん(当時13歳)は、体調不良を訴え、グラウンドに倒れました。しかし、顧問だった男性教師から「演技は通用せん」などと言われ、とりあってもらえず、翌日、熱中症による多臓器不全で亡くなりました。

     健斗さんの父、勝哉さんが、教師を目指す学生対象に講演するのを聞きました。温めておいた卵を割ってみせました。卵の白身は、たんぱく質が固まっていました。同様のことが、人の体でも起きることを示すためでした。熱中症の怖さです。

     日本スポーツ振興センターの2015、16年度災害共済給付データによると、月別の熱中症発生は、5月、6月ごろから増え始め、暑さ真っ盛りの7月、8月にピークを迎えます。秋や冬でも発生しています。

     センターの「熱中症を予防しよう」というリーフレットには、熱中症の発生要因や、注意、対策などが書かれています。

     熱中症は気温、湿度、風の有無など自然環境に加え、本人の体質や、暑さ慣れしていない時期かどうか、前日までの疲れが残っているかどうかなど、個人差や体調によっても左右されます。さらに運動の継続時間や、水分補給の仕方、休憩の取り方も関係します。

     また、リーフレットによると、学校の管理下の熱中症の死亡事故は、ほとんどが体育、スポーツ活動によるもので、気温25~30度でも、湿度が高い場合に発生しています。

     定期試験や風邪などで何日か部活動を休んだあとの練習再開日や、夏休みに入ったばかりや合宿で急に練習量が増えたときなどは要注意です。また、中学、高校の1年生部員は体がまだできていなかったり、激しい運動に慣れていなかったりします。休憩時間も先輩や先生のお世話で休めなかったり、体調不良を言い出せなかったりします。顧問や先輩部員は、配慮する必要があります。

    部活動、保護者も連携を

     なお、熱中症で子どもが亡くなったり、重い後遺症を残したりした事例の中には、顧問や先輩部員による「暴力的」ともいえる指導があるものもありました。体調不良を言い出しにくい圧力的な雰囲気があったり、体調不良を訴えても取り合ってもらえなかったりしたものは、「暴力」と変わりません。

     保護者が部活動の状況を知ることは簡単ではありません。部活の実態はさまざまですが、「勝つこと」を目的として、厳しい練習が優先され、我慢を強いる面がまだ多くあります。私自身、顧問の教職員を対象にした研修に行ったことがありますが、熱中症対策に真剣に向き合ってくれているのか、疑わしいと感じたことがあります。

     生徒が、顧問の先生や学校に「改善を」と求めることは困難です。ぜひ、保護者も連携して、安心で安全な部活動を目指しましょう。

     水分不足は脱水症状を起こします。脳の血管が切れやすくなり、脳出血やくも膜下出血を起こすこともあります。水分やミネラルが不足すると、足がつったり、頭痛がしたりするようにもなります。

     子どもと一緒に、熱中症の症状や予防、対処法について話し合うことも大切です。<文・武田さち子>


     ■人物略歴

    たけだ・さちこ

     教育評論家。1958年東京生まれ。いじめホットラインにかかわったことがきっかけで、学校問題に取り組む。ホームページ「日本の子どもたち」を主宰。著書に「あなたは子どもの心と命を守れますか!」など。夫と娘1人。趣味は神社仏閣を巡る旅。

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