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余録

「なにしろ、とんでもない仕事だよ」…

 「なにしろ、とんでもない仕事だよ」。王子さまにこうぼやいたのは街灯の火をつけたり消したりする点灯夫だった。彼の小惑星は1分周期で自転するので、のべつまくなしに点灯と消火を繰り返していたのだ▲サンテグジュペリの「星の王子さま」は、この点灯夫や独りぼっちの王さま、うぬぼれ男、空の星の持ち主だという実業家たちが住む小惑星をめぐる。王子さまのふるさともB-612と名づけられた家ほどの大きさの小惑星だった▲悲しい時は日の入りを見るのが好きな王子さまは、座る椅子を少しずつずらし1日44回も日の入りを見たことがある。では、こちらも少し走れば1日に何回も日の入りを見られるのか。直径約900メートルという小惑星リュウグウである▲3年半前に打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」が27日ごろに目的のリュウグウから約20キロの空間に到着する。その途中、約100キロのところから送ってきた写真は、まるでそろばん玉のような形のリュウグウの姿をとらえていた▲リュウグウの自転は地球と逆方向で、周期は7時間半というから、街灯点滅はさほど忙しくない。なのに遠心力で赤道部がふくらんだそろばん玉型なのが専門家には意外だったらしい。「意外」は多いほど今後の探査が楽しみになる▲むろん発見が期待されるのは王さまや実業家ではなく、地球の生命の起源解明につながる有機物や水である。王子さまだけではなく、地球上のあらゆる生命のふるさとなのかもしれない太陽系の小惑星だ。

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