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社説

きょう沖縄慰霊の日 本土との溝をどうするか

 沖縄はきょう「慰霊の日」を迎えた。73年前の沖縄戦で旧日本軍による米軍との組織的戦闘が終結したとされる日だ。

     米軍の本土侵攻を遅らせようと3カ月近くに及んだ持久戦で約20万人が犠牲となり、うち約9万4000人が一般の住民だった。軍に集団自決を強いられるなど、県民の4人に1人が命を奪われた凄惨(せいさん)な戦争であったことを忘れてはならない。

     米軍の占領統治も苛烈を極めた。住民の多くは一時、収容所に入れられ、「銃剣とブルドーザー」による基地建設で住む土地を追われた。

     一般に日本人の近現代の時代認識は「戦前」「戦後」に区分されるが、沖縄では1972年の本土復帰が画期となる。戦後日本の高度経済成長を共有できず、経済格差と基地負担の不公平という本土との溝を抱えたまま復帰後の沖縄が形作られた。

     そして今あるのは、国土面積の0・6%しかない沖縄に米軍専用施設の70%が集中する現実だ。

     かつて「沖縄イニシアティブ」というリポートがあった。沖縄サミット(主要国首脳会議)の開かれた2000年に琉球大の教授らが発表し、米軍基地の存在意義を認める内容に当時、異論も多かった。

     だが、それまでの反基地闘争や独立論などと一線を画した沖縄の自立論はその後の保守県政に大きな影響を与えた。基地の整理・縮小が確実に進むなら、日本の一員として安全保障面の役割をある程度担いつつ、地域の特性を生かして自立的に発展していこうという考え方だ。

     本土との溝を埋めようとする沖縄からのアプローチともいえるが、政府側はかたくなだ。沖縄振興への財政支援と引き換えに、沖縄の頭越しに日米間で決めた米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設受け入れを迫る姿勢に終始している。

     これでは日本の安全保障が沖縄の犠牲の上に成り立ってきた従来の構図と変わらない。沖縄戦以降の歴史的経緯から目を背け、移設に反対する人々を敵視するような言論がネット上などに発信される状況は、政府の対応とも無縁ではないだろう。

     本土側の無理解が沖縄への偏見を助長し、沖縄と本土の溝を広げている。歴史を見つめ直し、この悪循環を止めなければならない。

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