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余録

脚本家の山田太一さんに…

 脚本家の山田太一さんに「ひとりカラオケ」というエッセーがある。東日本大震災で「絆」という言葉がよく使われた。「ひとりカラオケ」は「孤独」を思い起こさせ「絆」と対極の言葉のようでもある、と▲だが人には「絆に救われる現実もあれば、ひとりカラオケに救われる現実もある」とつづる。この歌も一人口ずさんだことのある人は多いのではないか。山田さんが脚本を手がけたテレビドラマ「ふぞろいの林檎たち」の主題歌「いとしのエリー」である▲落ちこぼれの大学生たちが懸命に生きようとする1980年代のテレビドラマを思い出す時、サザンオールスターズの歌声と映像が重なる。彼らがデビューしてからきょうで40年になる▲最大のヒット曲は2000年の「TSUNAMI」。恋の切なさを歌った曲だが、震災以降、タイトルが被災者を傷つけるのではないか、とテレビやラジオでほとんど放送されなくなった▲16年3月に閉局した宮城県女川町のFM局が最後のリクエスト曲で流したのが「TSUNAMI」だった。この曲に人生の思い出を刻んだ被災者もいたのだろう。聴取者から「ずっと聴きたかった」「涙がこぼれた」といった多くの声が届いたという▲山田さんは書く。「ひとりカラオケ」の店から街に出れば、またつらい現実を生きていくしかない。「だけど何か掴(つか)まるものが欲しい。あと一曲。掴まって立ち上がれる歌があったら歌いたい」。サザンの曲には、思い出を力に変える不思議な何かがある。

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