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社説

米国のイラン原油禁輸要求 日本は毅然として拒否を

 イラン核合意から5月に離脱したトランプ米政権が、イランへの制裁の一環として、日本を含む各国にイラン産原油の輸入を完全に停止するよう求めている。

     イランの収入源を遮断し、より厳しい核合意を実現するための圧力とする狙いがあるようだ。

     制裁が適用されれば、イラン原油の取引がある金融機関が米国の金融市場から締め出される恐れがある。日本の金融機関も例外ではない。

     核合意は今もイランと英仏独中露の合意参加国で維持されている。米国が金融市場での絶大な影響力をテコに力ずくで合意を崩壊させようとしているなら、横暴に過ぎる。

     イラン原油の禁輸制裁はオバマ前政権が2012年に発動した。欧州連合(EU)も独自に制裁した。

     厳しい制裁にもかかわらず国際社会が足並みをそろえたのは、核開発の疑念がそれだけ強かったためだ。

     日本など多くの国がイラン原油の輸入を減らし、その結果、経済的に困窮したイランが交渉に応じて3年前の核合意に至った。

     しかし、今回の禁輸要求は関係国の理解と支持を得られていない。そもそも問題は核合意を離脱したトランプ政権の決定にある。

     イランが核開発を制限する見返りに各国が制裁を解除するのが合意の柱で、国際機関は関係国が順守していることを認めてきた。

     ところが、トランプ政権は合意の不備を理由に日欧などの反対を押し切って離脱し、制裁の再発動を表明した。理屈を欠く制裁への国際社会の理解が低いのは、当然だろう。

     トランプ政権は11月に制裁を発動する方針だ。例外は認めないという。イランに原油調達の5・5%を依存する日本への影響は大きい。

     もとより、国際的な取り決めを一方的に破り、民間企業を人質に他国のエネルギー政策に干渉することなどあってはならないことだ。

     だが、日本の態度は定まらない。核合意を支持しながら、破棄したトランプ政権に理解を示し、禁輸要求を批判せず回避策を探っている。

     米国の顔色をうかがうばかりに、筋の通らぬ振る舞いを見過ごしていいはずがない。安倍晋三首相は毅然(きぜん)として禁輸要求を拒否し、制裁発動の再考を求めるべきだ。

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