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EU

ユーロ改革足踏み 焦点は共通予算の創設

 【ロンドン三沢耕平】欧州の統合深化に向けて議論されてきたユーロ改革が足踏みしている。欧州連合(EU)は29日に閉幕した首脳会議で改革案を協議したが、共通財務相の新設や共通予算の具体化といった「改革の本丸」は先送りされた。域内の経済格差が深刻化する中、改革の遅れは欧州の結束をさらに弱めることになる。

     欧州では世界最大の経常黒字国であるドイツを筆頭に北部に裕福な国が多く、ギリシャやイタリアなどの南欧や東欧諸国との経済格差が深刻化している。

     ただ、共通通貨の下では金融政策が欧州中央銀行(ECB)に一本化されるため、通貨安による輸出競争力の改善は期待できない。イタリアやギリシャなど危機に陥った国では、金融支援の条件となる緊縮財政に苦しむことで「反ユーロ」「反EU」感情が広がってきた。「通貨が共通でも財政がバラバラ」。これがユーロ制度の最大の弱点とされている。

     このため、ユーロ改革の最大の焦点は、豊かな国々から財政難に苦しむ国へ財政を移転する制度の構築だ。推進役のマクロン仏大統領は早くから共通予算の必要性を訴え、今月19日にはメルケル独首相と会談し、各国が資金を拠出する共通予算を創設することで合意した。

     だが、加盟国内には財政統合に対する反対論が根強く、首脳会議でも異論が噴出。自分たちの税金を他国の失敗のツケに使うことへの抵抗感があるためで、デンマークやスウェーデンなどユーロ非加盟国を含む北欧諸国も慎重な立場だ。

     イタリアやギリシャなど銀行の不良債権や債務問題に苦しむ国がある中、金融システムをさらに強固にすることも課題として残る。 首脳会議では、財政危機の国を支援する「欧州安定メカニズム」(ESM)や域内銀行の破綻時に備える処理基金の強化で合意したものの、加盟国ごとにバラバラの預金保険制度を一本化する具体策は議論されず、重要課題は軒並み先送りされた。

     ユーロ改革は今後も協議を継続するが、マクロン氏とともに改革を主導する立場のメルケル氏は難民問題の混迷で求心力が低下。来年は5月に欧州議会選挙が予定され、秋にはユンケル欧州委員長やECBのドラギ総裁が任期満了を迎える。キーパーソンの交代を控え、ユーロ改革の機運もしぼみつつある。

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