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つれづれに千葉

カジノ 苦い思い出 /千葉

 賭け金の紙幣を机上に置いた。30人ほどの男たちが机を囲み、転がる三つのサイコロに鋭い視線を注ぐ。合計は偶数か奇数か。的中すれば賭け金は2倍になって戻り、外すと没収される。

     スリランカを9年前に旅し、コロンボの鉄道駅近くでカジノを見つけた。旅の思い出にしようと、安全を確認してビル2階の一室に入った。10スリランカルピー(7円)単位で賭ける。少し負けた。30分ほど遊び、帰ろうとすると、ディーラーに「日本人よ、このまま負けて帰るのか」と挑発され、スリランカ人ばかりの客全員がはやし立てた。「日本男児の心意気をみせてやる」と引き返し、再び勝負を挑んだ。偶数に賭け続けたのに5回連続で奇数が出た。負けず嫌いの性格が災いした。出口へ急ぎ、もう挑発に乗らなかった。目が合ったディーラーは笑っているように見えた。

     モナコやマカオ、ラスベガスと、カジノの華やかな雰囲気にあこがれる。愛読書の紀行小説「深夜特急」で、主人公がマカオでカジノをする場面が出てくる。20年以上前には、小説をまねて香港の安宿に荷物を置き、船でマカオに渡ってカジノへ出かけた。サイコロを三つ振って数字の「大小」を当てる。勝ち負けを繰り返し、500円ほど勝っている時点でやめた。スリランカでも同じように勝って旅を終えたいと欲張った結果、負けが込んでしまった。

     カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案の行方が注目される。経済効果への期待がある一方で、ギャンブル依存症への懸念は強い。成田空港は年間4093万人が利用し、国際線旅客数は日本一で、カジノを生かせる立地環境にある。成田市の小泉一成市長に聞くと、「慎重な考えは一貫して変わらない。依存症を心配する声がある。経済的にはいいのかもしれないけれど、成田山の門前町として発展した1000年以上の歴史を有するまちなので、イメージをなくしたくない」との答えが返ってきた。

     旅の苦い思い出がよみがえり、「自分だけは依存症と無関係」と言い切る自信はない。【成田支局長・中村宰和】

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