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社説

桂歌丸さん81歳で逝く 落語ファンの裾野広げた

 抜群の知名度と人気を生かして全国各地で落語会を開き、落語の魅力を広く伝えた。功績の大きさは計り知れない。

     落語芸術協会会長で、人気演芸番組「笑点」でも知られた桂歌丸さんが81歳で亡くなった。

     中学3年でこの世界に入り、芸歴67年。最後の高座は亡くなる2カ月半前の4月19日、東京・国立演芸場での「小間物屋政談」だった。

     数年前から体調を崩し、入院がちだった。それでも落語への執念は衰えず、必ず舞台に戻ってきた。近年は酸素吸入器を鼻につけながらも、明晰(めいせき)な語りで観客を引きつけた。

     生涯現役を貫く見事な落語家人生であった。

     歌丸さんを国民的スターに押し上げたのは「笑点」だ。1966年5月の番組開始時から半世紀にわたって出演し、司会もつとめた。

     それでも、落語家としての本分を忘れることはなかった。

     埋もれた噺(はなし)の掘り起こしに力を入れた。60歳ごろから始めた、三遊亭円朝の長編怪談噺の全編通し上演も高く評価された。「今やっておけば、私の後にそれを参考にやる人も出てきてくれるでしょうから」と、落語の行く末を見据えていた。

     落語の歴史は300年とも400年とも言われる。何度かのブームを経て、いま落語界は活況にある。

     東西合わせた落語家は800人以上を数え、首都圏だけでも月1000件を超える落語会が開かれている。江戸期に都市の芸能として発展したが、4月に仙台に寄席がオープンし、今月11日には神戸・新開地にもできる。

     とはいえ、着物姿で座布団に座り、小道具は扇子と手ぬぐいだけ。一人の落語家が老若男女さまざまな人物を演じ分け、情景まで描き出す落語という芸に、まだまだハードルが高いと感じる人は多いだろう。

     一年中営業している定席の寄席がない地方であれば、なおさらだ。

     「テレビでよく知った顔の歌丸さんが出るなら」と、落語会に足を運び、そこから奥深い世界に魅せられていった人もいることだろう。

     「落語を残すのも、落語のお客さんを残すのも、落語家の責任」とよく言っていた。その遺志が、ぜひ受け継がれていってほしい。

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