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踏み跡にたたずんで

洞と年寄りたち=小野正嗣

 人だかりができていたので、思わず足を止めた。

 どうしたんですか?

 いちばん近くの男性に、そう尋ねた。

 どうしたんですか?

 返事はなかった。色あせた野球帽の下から覗いた髪の筋は白かった。首筋の皮は焦げたように黒く、たるんでいた。耳に補聴器は入っていなかった。

 そこで、男性の横の、日傘をさした老婆(ろうば)に、同じ問いを投げかけた。熱気にあおられるように白髪がふわふわと揺れていた。

 でも返事はない。僕の声が聞こえていないのか。あるいは、眼前の出来事にすっかり心を奪われているのか。

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