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福井・大飯原発

高裁逆転判決 敗訴「司法の敗北」 住民、怒りと落胆

厳しい表情で記者会見する原告団代表の中嶌哲演さん(中央)=金沢市で2018年7月4日、久保玲撮影

 「司法の敗北だ」。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、名古屋高裁金沢支部は4日、運転差し止めを認めた福井地裁判決を覆した。原発再稼働の判断を国の原子力規制委員会に「丸投げ」したともいえる内容に、法廷は怒号と落胆の声に包まれた。【塚本恒、日向梓、石川将来、高橋一隆】

     「1審被告の敗訴部分を取り消す」。内藤正之裁判長が主文を読み上げると、傍聴席から「その判決、間違っています」と声が上がった。さらに内藤裁判長が判決要旨を読み進め、原発の廃止・禁止について「判断は司法の役割を超え……」と言及すると、法廷内は騒然とした状態に。内藤裁判長が「いろいろな意見があると思うが」と傍聴席に語りかける場面もあった。

     住民側は元々、厳しい判決を想定していた。控訴審では地震や火山などの専門家ら10人の証人尋問を申請したが、採用されたのは元原子力規制委員長代理の島崎邦彦・東大名誉教授だけ。反発した住民側は内藤裁判長らの忌避を申し立てたが却下された。

     結審後は、審理が不十分として弁論再開を再三、要望したが、退けられ続けた。控訴審判決を前に、島田広弁護団長は「裁判所にやる気が感じられない。もはや裁判とは呼べない」と話していた。

     4日の控訴審判決では、安全に対する考え方を巡る、1審判決とのギャップの大きさも住民側を落胆させた。福井地裁は関電の安全対策を「楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る」と厳しく非難したが、名古屋高裁金沢支部は一転、「原発の危険性は社会通念上無視しうる程度に管理・統制されている」との判断を示した。更に原発の廃止・禁止について「立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべきだ」と言及。敗訴を伝える垂れ幕を掲げた福井県高浜町の原告、東山幸弘さん(71)は「怒りを感じる。司法の役割の放棄だ」と語った。

     判決後、弁護団の一人は「最高裁で負ければ、全国の脱原発運動にとって逆風となる」と、上告は難しいとの見方を示した。原告団代表で、「明通寺」住職の中嶌哲演(なかじまてつえん)さん(76)は「ここで(脱原発の)活動を止めてはならない。運動の輪を広めていきたい」と前を向いた。

    規制委ノーコメント

     原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は4日午後の定例記者会見中に名古屋高裁金沢支部の控訴審判決を知り、記者団から見解を問われたが「見解を申し上げる立場でない」と述べるにとどめた。控訴審判決が取り消した1審判決については「司法判断の中に、技術的に目を向けなければならないものがあればそらすべきではないが、規制委が対処を必要とする内容はないと思う」と述べた。【岡田英】

    内藤正之裁判長=代表撮影

    参院1票の格差に「違憲状態」

     大飯原発3、4号機の運転を認める判決を言い渡した内藤正之裁判長(61)は、神奈川県出身で、民事裁判を主に担当。東京高裁などを経て、2014年10月に名古屋高裁金沢支部の部総括判事に着任した。同年12月からは同支部長を務めている。

     1票の格差を巡る訴訟では、16年10月に最大3・08倍だった同年7月の参院選を「違憲状態」と、今年1月には最大1・98倍だった17年10月の衆院選を合憲と判断した。

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