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社説

核禁止条約採択から1年 発効を急ぎ廃絶の圧力に

 国連で核兵器禁止条約が採択されてからあすで1年になる。核兵器の使用だけでなく開発や実験、威嚇まで幅広く禁止する包括的な内容だ。

     核兵器の全廃と根絶をうたう条約には国連加盟国の約3分の2にあたる122カ国・地域が賛成した。

     これを受け、採択に中心的な役割を果たしたとして国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)がノーベル平和賞を受賞した。

     今年に入ってからは核問題で大きな脅威となっている北朝鮮が核実験の中止を発表し、米朝首脳会談では「完全な非核化」を確認した。

     国際的な核廃絶への関心が高まっているのは間違いないだろう。

     ところが、条約に署名済みの国はまだ59カ国・地域で、国内手続きを終えて批准した国は10カ国・地域にとどまる。発効には50カ国の批准が必要だが、見通しは立っていない。

     署名や批准の遅れには各国の事情があるが、思い出すのは、昨年の交渉経過で米国が各国に圧力をかけた事実である。日本は米国の要請もあって不参加に転じた。

     米国はいま北朝鮮に核とミサイルを放棄するよう迫っている。ただし、その一方で核廃絶を目指す国際社会の動きを鈍らせようとしているなら、筋が通るまい。

     世界での核兵器の脅威はなお深刻だ。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は世界の核弾頭数を1万4465発(今年1月時点)程度と試算している。

     米露間の条約に基づく戦略核削減などで前年より470発減ったという。一方で、米露は核兵器の近代化や新たな核システム開発を進め、中国は核弾頭を増やした。

     核保有国は条約に反対して交渉に参加しなかった。だが、忘れてはならないのは、条約が採択された最大の理由が核保有国による核軍縮の遅れにあったことだ。

     条約が発効すれば、核廃絶が国際規範として確立される。1年以内に批准国による締約国会議が開かれ、核廃絶へのプロセスが始まる。

     会議には批准していない国のオブザーバー参加が認められる。参加国の裾野が広がれば核保有国への圧力になり、核軍縮を後押しする効果も期待できよう。核廃絶の機運を逃さず、早期発効につなげたい。

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