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炎のなかへ

/200 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

その夜(35)

 タケシは再び不発弾に耳を澄ませた。まだなにかが煮えたぎる音はきこえてこない。空を見あげた。あちこちで黒煙があがり、空全体が広大な煙突にでもなったようだ。上空ではB29が銀の翼をきらめかせ、無表情に新たな焼夷(しょうい)弾をばら撒(ま)いている。空襲警報と高射砲の炸裂(さくれつ)音、それに無数の爆撃機のエンジン音は鳴りやまなかった。耳が麻痺(まひ)するというより、お腹(なか)が痛くなりそうな音だ。

「さあ、いこう。最初はナオくんと兄ちゃんだ。登美ちゃんはすこし離れてついてきてくれ。不発弾の音に気を…

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