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 ちかごろ地震が続いている。日本はそもそも地震国だ。江戸時代でも、複数の地震が起こった。

     初期の大震災が、新暦で1703年12月31日午前2時ごろ起こった元禄地震である。房総沖を震源地とするマグニチュード(M)8・2の地震で、翌04年には、これ以上の災いを回避するために「元禄」を「宝永」とした。新井白石はこの時、庭に板戸を並べて地割れから家族を保護した後、「家が倒れると火が出るぞ! 消せ!」と大声で叫びながら走って行った。冬には今より多くの火事が起きた。そこで、「火を消せ」と叫ぶのだ。

     年号を変えても余震は避けられなかった。新暦で07年10月28日、東海、東南海、南海に連動型地震が起こる。その49日後、富士山の側面で大噴火が起こり、江戸にも火山灰が積もった。この噴火によって富士山には側火山である宝永山が出現したのだ。この後、富士山は噴火していない。

     江戸に大きな被害をもたらした大震災は幕末の新暦1854年にも起きた。つまり中小の地震や火災はともかく、大震災はこの2回しか起こらなかった、ということである。戦争もなかった。江戸時代の経済的文化的発展は、この大震災の回数とも関係ありそうだ。

     被災した人々は襖(ふすま)や障子や戸障子を使って家を組み立て、自分たちで仮設住宅を作った。自主的に「火の用心」を呼びかけ、拍子木をたたいて注意を喚起した。武士は自分の家の米で握り飯を作り、町で被災者たちに配った。美談ばかりではない。留守を狙った強盗もいれば、親を捨てて逃げた娘の話も記録されている。

     江戸では火事除(よ)けのために瓦屋根が増えたが、地震の時に崩れやすいというジレンマもあった。今日のブロック塀の崩壊やインフラのまひのように、その都度考えねばならない課題がいつの時代もあって、それらに向き合って生きてきたのである。(法政大総長)

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