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もうひとつの動物園

守り・伝える/214 オランウータン/6 /東京

日本初の赤ちゃん誕生

 新居でのモリーとタローの折り合いは良かった。1960年3月、モリーの初潮を確認。間もなく交尾し、モリーに月経が見られなくなった。上野動物園は12月、モリーの尿を採取し、畜産大学に妊娠の診断を依頼した。

     陽性反応が出た。翌年1月、診察と万一の事態に備え、2頭の部屋を分けた。腹回りを測ったり、胎児の心音を聞いたりと定期的に検診を続けたが、5月になってもモリーに出産の気配はない。獣医師たちは不安を募らせた。心音も、おなかで動く様子も、確認できなくなっていた。

     産婦人科医に診てもらうと、かすかな心音を確かめられた。レントゲン撮影の結果、2、3日のうちに生まれる可能性があることが分かった。

     5月29日朝。モリーはいつもの牛乳に口を付けなかった。午前10時半、飼育係員が破水に気づいた。獣医師2人が駆けつけると、モリーは強い陣痛に耐え、横になっていた。

     午前10時58分、突然立ち上がったモリーは3メートルほどの高さにある天井の鉄格子につかまった。中腰のような姿勢でぶら下がったまま産み落とした赤ちゃんを、右手でサッと受け止めた。午前11時、日本で初めてオランウータンの赤ちゃんが生まれた。【斉藤三奈子】

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