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滋賀・日野町事件

再審決定 34年前の殺人「自白信用性なし」 大津地裁

 滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性(当時69歳)が殺害されて金庫が奪われた「日野町事件」で、大津地裁(今井輝幸裁判長)は11日、強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中の2011年に75歳で病死した阪原弘(ひろむ)元受刑者の遺族が求めた第2次再審請求審で、再審を開始する決定をした。有罪判決の根拠となった自白などの証拠をほぼ全面的に否定した。死刑・無期判決が確定した事件で、死後に再審が認められたのは戦後初めて。

     1審・大津地裁判決(95年)では、阪原さんの自白について「不自然な点が多いほか、秘密の暴露は何一つなく、信用できない」と判断。だが、女性宅にあった鏡に付着した指紋や、遺体と金庫の場所を知っていたことなどを重視し、「犯人性を推認できる」と無期懲役とした。

     控訴審の大阪高裁判決(97年)は一転、「自白は基本的根幹部分が十分信用できる」と指摘。阪原さんのアリバイ主張に虚偽性があるほか、間接証拠から「犯人性が認められる」として1審を支持。2000年に最高裁が上告を棄却し、刑が確定した。

     今回の決定は自白について、長時間の任意の取り調べで「警察官から殴られたり脅迫されたりした疑いがある」と指摘した。自白に任意性はなく、「事実認定の基礎となるほどの信用性はない」と判断した。

     さらに、阪原さんが金庫や遺体の発見場所まで警察官を案内できた理由について、「警察が意図的に断片的な状況を示した可能性がある」とし、警察による誘導を示唆した。

     大津地検は「主張が受け入れられず誠に遺憾だ。上級庁と協議の上、適切に対応したい」としており、即時抗告するか検討している。【小西雄介】

    死後再審無罪、1件のみ

     再審請求は、元被告本人が死亡した場合でも遺族が引き継ぐことができ、死後も期限なく請求できる。だが、「死後再審」が認められるのは極めてまれだ。

     日本弁護士連合会によると、日弁連が支援した事件で、死後再審が認められて無罪が確定したのは1件のみ。1953年に徳島市でラジオ商(現在の電器店)店主を殺害したとして懲役13年が確定した内縁の妻が79年に死去した後の80年、徳島地裁が再審開始決定を出し、その後の再審で無罪が確定した。

     審理が続いている例もある。鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」では、鹿児島地裁が2017年、義姉(91)=懲役10年確定=とともに、93年に死去した元夫=同8年確定=の再審開始を認めた(検察側が特別抗告中)。

     一方、死刑囚の死後再審が認められた例はない。三重県名張市で女性5人が死亡した「名張毒ぶどう酒事件」や、東京都豊島区で毒物を飲んだ12人が死亡した「帝銀事件」などは死刑囚の死後も再審請求が続いている。【伊藤直孝】


     ■ことば

    日野町事件

     1984年12月、滋賀県日野町で酒店経営の女性(当時69歳)が失踪し、85年1月に草むらで遺体で発見。同4月に山林で被害者宅から盗まれた金庫が見つかった。88年、県警は酒店の常連客の阪原弘さんを強盗殺人容疑で逮捕。阪原さんは公判で無罪を主張したが、大津地裁は95年に無期懲役を言い渡し、2000年に最高裁が上告を棄却。再審請求も06年に大津地裁で棄却され、即時抗告したが、阪原さんの病死で審理は11年に終了した。12年に遺族が再び再審請求をしていた。

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